同一賃金、企業は警戒 政府が年内に指針

2016/11/30 1:00
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政府が働き方改革の一環で検討している「同一労働同一賃金」に対し、企業が警戒感を強めている。政府は正社員と非正規労働者の不合理な待遇差を例示したガイドラインを年内に策定する方針。非正規社員の処遇改善を目指す方向で官民の足並みはそろっているが、企業側は「総人件費」が増えるかどうかを見極めようとしている。

働き方改革実現会議であいさつする安倍首相(29日、首相官邸)

働き方改革実現会議であいさつする安倍首相(29日、首相官邸)

政府の働き方改革実現会議は29日、4回目の会合を開き「同一労働同一賃金」の議論を始めた。政府がまとめるガイドラインを受けて、企業側がどう対応するかが焦点になる。

ゼンショーホールディングスが運営する牛丼店「すき家」。店長には転勤のない地域正社員と契約社員がいる。契約社員の時給は900円で、月100時間勤務した場合、手当や賞与も支給されるため、年収は160万円程度になるという。地域正社員は所定の月165時間勤務で年収は350万円ほどだ。

時給に換算すると地域正社員は1800円弱なのに対し、契約社員は1300円強。同社は「地域正社員は販促活動の立案なども求められる。仕事内容は厳密には同じではない」としている。

政府は正社員の待遇を引き下げずに非正規社員の処遇改善を促す。産業界からは「結局は総コストが上昇してしまうのでは」(大手製造業)との声があがる。

グローバル化する世界で戦う上で「労務費をいかに抑えるかは経営者の最大の関心事」(自動車メーカー幹部)だ。多くの働き手を確保し、従業員のニーズになるべく応えたいが、政府主導でコストが上昇していく構図をつくりたくないとの思いも根強い。

すでに「同一労働同一賃金」の考えを取り入れている企業もある。りそな銀行は正社員、業務範囲などを限定する限定正社員、パートの3つの職種で共通の職務等級制度を適用し、同じ等級なら時給換算の基本給も同じだ。一方で職種に応じた責任の違いや転勤・異動の有無などを賞与や退職金、福利厚生に反映して差をつけている。

家具小売り世界最大手イケアの日本法人イケア・ジャパン(千葉県船橋市)は近年、有期雇用のパート従業員を無期の正社員に切り替えた。社員は1週間の勤務時間を12~24時間、25~38時間、フルタイムの39時間から選べ、職位や担当業務が同じであれば時間当たりの基本給は同じになる。

日本総合研究所の山田久調査部長は「賃金だけでなく教育や研修機会の格差を縮めることで非正規の能力を高めることが重要だ」と、処遇改善を生産性の向上につなげるべきだと指摘する。

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