京都大学の林愛明教授らは、4月に起きた熊本地震の地震波を解析し、阿蘇山の地下にある断層の破壊が、マグマだまりのところで止まった可能性が高いことを明らかにした。マグマ付近の岩石が不安定になっているとみられ、噴火のリスクが高まったと指摘している。20日付の米科学誌サイエンス(電子版)に発表した。
論文は6月に書かれ、10月8日に阿蘇山で爆発的噴火が発生。熊本地震による断層と直接関係があるかどうかは不明だが、林教授は会見で「私たちの主張と矛盾しない。地震断層と噴火の関係を考慮して火山災害のハザードマップを作る必要がある」と話した。
林教授によると、阿蘇山の地下にある断層は地震で動いたものの、マグマがたまっている場所で動きが止まっていた。
また現地調査で、阿蘇カルデラ内の地表に新たに4本の断層が現れたことを確認した。地下の断層も割れているとみられ、マグマが断層を伝わって地表に出やすくなっている可能性がある。ただ、実際のリスクの判断には、今後マグマの活動を直接調べる必要がある。