2019年5月20日(月)

化血研、アステラスと交渉破談 ワクチン業界に再編圧力

2016/10/20 2:00
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アステラス製薬に対する化学及血清療法研究所(化血研、熊本市)の事業譲渡の交渉が破談に終わった。塩崎恭久厚生労働相は引き続き化血研に対し事業譲渡を強く求めていく方針。世界のワクチン市場は拡大しているが、先端的なワクチンは外資系企業がほぼ独占している。化血研問題をきっかけに海外展開も見据えた再編が進む可能性がある。

化血研は各種ワクチンのほか、血液製剤、動物用ワクチンを手掛ける。だが国の承認と異なる方法で約40年前から血液製剤などを製造していた不正が明らかになった。しかも化血研は薬害エイズ訴訟の被告企業の一つ。1996年の和解で安全な医薬品製造を約束していながら、裏では不正を続けていた。

今回の不正発覚を受け、厚労省は化血研の「解体」方針を明言し、事業譲渡を促してきたが、アステラスとの交渉決裂で振り出しに戻った。

化血研は今後、新たな譲渡先を探す見込み。ただ、アステラスとの交渉の経緯から垣間見えた「独立志向」の強さなどを踏まえると、他社との交渉が進むかどうかは不透明だ。

化血研が独立にこだわるのと裏腹に、ワクチン業界では再編圧力が強まりつつある。化血研問題を受け、昨年12月に厚労省が設けたタスクフォース(有識者会議)の外部委員はこのほど「ワクチン産業の業界再編が必要」と提言した。

日本のワクチン市場は2000億円強で、インフルエンザ向けやB型肝炎向けなどがある。化血研のほか阪大微生物病研究会など一部の財団法人や企業が研究開発と生産を担い、大手製薬会社が販売している。大手では武田薬品工業や第一三共もワクチン製造を手がけており、アステラスは生産機能がなかった。

世界のワクチン市場は2兆円を超え、英グラクソ・スミスクラインなど欧米の大手4社が約7割のシェアを占める。国内でも先端的なワクチンは外資系企業がほぼ独占している。化血研の問題を契機に、日本の競争力強化も念頭に置いた再編議論が本格化しそうだ。

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