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宇宙開発VBのispace、砂丘で探査ロボ実験

宇宙開発ベンチャー、ispace(東京・港)が運営する月面探査チーム「HAKUTO」は27日、鳥取県の鳥取砂丘で探査ロボ「ローバー」の実証実験を始めた。2017年内に月面到達を目指す。KDDIスズキ日本航空など大手企業の支援を受けるが、国からの援助はゼロ。米国でもスペースXが名乗りを上げており、「民」が宇宙ビジネスの表舞台に出てきた。

HAKUTOは米財団が主催する月面探査の賞金レースに参加する。参加チームの中で最初に月面を500メートル走り、一定の映像を地上に届ければ優勝となる。まずは優勝を目指すが、レース終了後も縦穴の探査に挑む。穴の中は温度変化が小さいため将来は月面開発基地の建設に向くと見るからだ。

鳥取砂丘で実験するのは、比較的月面に近い環境だからだ。月面はパウダー状の細かい砂で覆われている。HAKUTOが目指す縦穴は半分が崩れて斜度が20~30度と緩くなっており、砂丘に似ている。実験ではKDDIの協力で通信状態や映像撮影を検証する。

「月面はもはや遠い存在ではない」。ispaceの袴田武史代表はこう話す。宇宙開発は米航空宇宙局(NASA)など国家機関が主役だったが、月や衛星は身近な存在となっており、民間企業の技術力で十分カバーできるというわけだ。実際、HAKUTOが開発したローバーは7割がスマートフォン(スマホ)や自動車に使う民生用部品でできている。

ローバーは東北大学の技術がベースとなっているが、支援企業の貢献も見逃せない。

例えば軽量化。月面探査のコストはローバーが1キロ重くなると1億2000万円増える。そこでKDDIが通信システム、スズキが四輪駆動の技術で協力。Zoffもウルテムという眼鏡フレームに使う樹脂技術を車輪に提供した。ローバーの重さはこの1年近くで3キログラム減って約4キログラムとなった。「資金確保が(企業による宇宙開発の)最大の課題」と言う袴田氏にとって力強い援軍となった。

とはいえ、課題も残る。米電気自動車テスラモーターズ最高経営責任者(CEO)としても知られるイーロン・マスク氏が率いる宇宙開発ベンチャーのスペースX。打ち上げ費用が3割程度安く、HAKUTOも月面探査の際に利用する計画だが、今月に打ち上げ前に爆発事故を起こした。米アマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾス氏が設立したブルーオリジンも炎上や爆発を繰り返した。

宇宙開発は戦後、国家の威信をかけた巨大事業と位置づけられ、その知見は産業界に還元されてきた。実際、米国では金融工学やIT(情報技術)で世界をリードする原動力となった。企業が真の主役となるにはまだハードルが高いが、新たな技術革新の担い手として注目が集まりそうだ。

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