地下鉄、宅配の足に 東京メトロ・ヤマトが実証実験

2016/9/9 23:44
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 東京地下鉄(東京メトロ)やヤマト運輸は9日、地下鉄で宅配便の荷物を輸送する実証実験を始めた。人口減による乗客数の落ち込みやトラック運転手の不足の対策にする。こうした取り組みはサービス低下に直面する地方で広がっている。ただ、都心部では地下鉄は混雑しており、安全性の確保など実現に向けた課題は多い。

 9日午前、東京メトロの新木場車両基地(東京・江東)。今回の実験のために特注して作った専用の台の上にフォークリフトで荷物を上げ、ヤマト運輸の従業員が有楽町線の車両に積み込んだ。車両は実験用の回送列車として和光車両基地(埼玉県和光市)に向かった。

 10月15日まで計10回実施する実験には有楽町線と直通運転する東武鉄道、佐川急便と日本郵便の宅配便大手2社も参加する。都心部にある有楽町駅や銀座一丁目駅で荷物を降ろし、地上に搬送する。

 実験の狙いは宅配便輸送の一部を鉄道に切り替え、トラック運転手の人手不足を緩和すること。ヤマト運輸の佐野出ネットワーク戦略部プロジェクトマネージャーは「トラック運転手の不足は高齢化と新規就業者の減少で深刻になる」と危機感をあらわにする。鉄道貨物協会は高齢ドライバーの退職と新規就業者の減少で20年度に10万人が不足すると予測する。

 鉄道会社にとっては、将来の人口減に備えた新規事業の開拓といった側面もある。東京メトロは営業収益のうち約8割を旅客運輸収入が占める。ただ、地盤の東京都の人口は2020年をピークに減少するとの予測もある。本業の旅客鉄道以外にも持続的な成長を見込める事業を確立する必要があった。

 そこで注目したのが地方で広がる公共交通を使った貨物輸送だ。京都市嵐山エリアでは京福電気鉄道とヤマトが路面電車を使った貨物輸送を展開。ヤマトはトラックの運行を減らして輸送効率を高められ、京福電鉄は荷物を運ぶことで収入を得られる。東京メトロは15年にこの取り組みを視察し、実証実験の参考にした。

 運行ダイヤが安定している鉄道を使うことで、交通渋滞の影響で荷物が届かないといった事態を防げる。東京メトロの企業価値創造部の小泉博課長は「まずは交通規制がおこなわれる東京五輪の開催時や、災害時の運行を考えたい」と話す。

 都心の地下鉄の駅は混雑していることが多く、乗客と荷物の接触を防ぐ安全対策が欠かせない。地下鉄のホームには貨物用のエレベーターがなく、乗客用で地上まで搬送しなければならない。ラッシュ時とかぶらない早朝と昼間の時間帯に運行するものの、通常の旅客向けのダイヤに影響を与えないように荷物の素早い積み下ろしも求められる。本格的な事業展開には解決すべき課題も多い。

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