2019年1月21日(月)

雇用保険改革、労使に温度差 保険料下げ議論開始

2016/9/6 0:32
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厚生労働省は5日、2017年度に実施する雇用保険制度改革の議論を始めた。雇用環境がよく、失業給付が減っていることから、労使が積み上げた拠出金は6兆円を超える。過剰に積み上がったお金を労働者や企業にいかに返していくかが主な議題だ。雇用保険料の引き下げや失業者への給付拡大などを巡る政府、労使の温度差が鮮明になっている。

厚労省は5日開いた労働政策審議会の雇用保険部会で、主な論点を示した。今回の制度改革では(1)雇用保険料の引き下げ(2)育児休業給付の期間延長(3)自発離職者の失業給付の延長(4)国庫負担金の引き下げ――が議題となる。厚労省は年内に議論をまとめ、来年の通常国会に雇用保険法の改正案を提出したい考えだ。

雇用保険は労使で折半して出す拠出金と国庫負担金で構成する。14年度末時点の積立金は6兆2586億円で過去最高だ。適正水準は4兆円程度とされ、ため込みすぎの状態となっている。

雇用保険料率は現在、過去最低の0.8%。17年度から0.2ポイント引き下げ0.6%とする方向だ。年収400万円の人の場合、年4000円の負担減になる。労使全体では3000億円を超える負担減で、厚労省は個人消費の底上げを狙う。

失業した場合の給付も増やす方針だが、労使からは注文が相次いだ。雇用保険の失業手当は2000年代初頭の雇用保険財政の悪化で、給付水準や日数が大幅に引き下げられた経緯がある。

労働者側の委員からは「財政状況は回復しており、引き下げ前の水準まで戻すべきだ」といった意見が出た。一方、経営者側からは「過去の制度改正は就職状況に影響を与えておらず、現状を維持すべきだ」と慎重な意見もあった。厚労省としては年内に結論を出したい考えだが、議論は難航する可能性がある。

政府が経済対策に盛り込んだ雇用保険料率の引き下げや国庫負担の圧縮についても異論が出た。労働者側の委員は「基本手当の水準の議論なしには、国庫負担や料率引き下げの議論はできない」との立場を表明。経営者側からは「(雇用安定や能力開発を目的にした)雇用保険2事業に充てる保険料も引き下げを」との注文も出た。

年間約1500億円の国庫負担金について厚労省と財務省は1000億円程度減らす方向で調整している。だが国庫負担金の引き下げは労使とも「雇用は国も責任を持つべきだ」との立場で一致しており、引き下げは反対が予想される。

倒産、解雇による離職や、非正規労働者の雇い止めなどに対応した給付の延長・拡充措置の扱いも今後議論になる。措置は今年度で期限が切れるが、厚労省は恒久化を検討したい考えだ。ただ経営者側が反対しており、最終的に一部の措置については延長や廃止で決着する可能性もある。

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