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高齢者支援 AI助っ人(関西は今)
京都・南山城村でアプリ実験 買い物注文代行、「見守り」機能も

2016/9/3 6:00
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京都府内で唯一の村である南山城村で、人工知能(AI)を活用した高齢者支援の取り組みが動き出した。2017年春の導入を目指し、AIが買い物の商品注文を助けるチャットアプリの実証実験がスタート。アプリには自家用車の乗り合いを周辺住民に呼びかける機能なども加える予定で、高齢者の生活を多面的に手助けする。

アプリのAIに欲しい商品を注文する実証実験を実施した

アプリのAIに欲しい商品を注文する実証実験を実施した

「お酒を買ってきて」――。8月下旬、本格導入に先駆けて一部の住民にアプリを利用してもらう実証実験が始まり、地元から4人が参加した。参加者はタブレット(多機能携帯端末)を操作し、思い思いのメッセージを打ち込んだ。

■品目や量を学習

いまは単純な会話が中心だが、AIが進化すれば、日々の会話の中で好みなどを学習し、一人暮らしの住民には容量少なめの商品を薦めたり、同じ商品を頻繁に注文する人にはいつもと同じ商品を提案したりすることも可能になる。ネットに不慣れな高齢者にとっては心強い味方だ。

アプリはIT(情報技術)ベンチャーのエルブズ(東京・渋谷)が開発中だ。AIがいくつかのシナリオの中から適切な会話を選択。利用者に名前で呼び掛けるなど、人間と話しているかのような自然な会話が特徴だ。

商品配送は、村が全額出資した南山城(京都府南山城村)と連携する。同社は17年4月、村内に道の駅を開業する予定。AIから道の駅の小売部門に情報が自動的に送られ、電話で住民に確認した上で商品を配達する。「販売・配達で個人商店などとの連携も模索していきたい」(南山城の森本健次社長)

「今は車を運転できるけど、それができなくなる日はすぐに来ると思う」。実験に参加した60代の女性はこう不安を漏らす。地域を巡回するコミュニティーバスは原則、1日2便のみ。住民の多くは村中心部から車で20分かけて、大型ショッピングセンターなどが集まる三重県伊賀市まで買い物に出掛けている。

■車乗り合い促進

自家用車が運転できなければ、「買い物難民」になる恐れがある。アプリには、事前登録した村の有志に、自家用車で目的地まで運んでもらえるよう依頼する機能を加えることも検討している。

エルブズは8月から大学の医学部と認知症の発見に関する共同研究を始めた。アプリは安否を確認する「見守りサービス」にも使えるほか、「日常的にアプリに触れてもらえれば、認知症特有の不自然な行動の発見につながるかもしれない」(田中秀樹社長)。アプリの用途を広げて利用回数を増やせば、正常なときにはとらない行動を見つけ、認知症の早期発見につながる可能性があるという。

「過疎地には日本の社会問題が山積している。だからこそ最先端のITが活躍できる場になる」と南山城の森本社長。タブレットの操作に不慣れな高齢者が多いことは課題だが、「今回の取り組みは5年、10年先の問題を見据えている」(手仲圓容村長)という。

実証実験は今年度中に計3回行う予定。次回は10月。初回の実験を踏まえて運用上の課題を洗い出し、高齢者への「ご用聞き」サービスとして来春の本格導入を目指す。

(京都支社 浦崎健人)

道の駅を「百貨店」に 村の中核機能集約 視野
 南山城村は2017年春に開業する道の駅「お茶の京都 みなみやましろ村」を地方創生の拠点として活用する。国土交通省が施設整備などを支援する「重点道の駅」に選定され、JR月ケ瀬口駅付近の国道沿いで建設中だ。
 観光拠点としての色彩が濃い道の駅だが、みなみやましろ村の場合は、地元の特産品のほか、生鮮食品や日用品を販売する「村民百貨店」にする。将来は道の駅の周辺に診療所を集積させるなど、村の中核機能を集約する方針だ。手仲圓容村長は「コンパクトシティーの発想で村役場を道の駅付近に移転する構想もある」と意気込む。
 南山城村はあちこちに豊かな茶畑が広がる。人口規模は3000人に満たないが、宇治茶の生産量では和束町に次いで府内2位を誇る主産地だ。だが、合計特殊出生率は1.05と府内の自治体で最も低く、人口は2040年には1394人まで減少する見通しだ。
 茶農家の数も減少。現在は約80戸と10年前から半減した。「後継者不足が何よりの課題だ」と手仲村長は話す。

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