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ソニー、「つながる」技術で脱・単品 IoT軸の新サービス

ソニーがビジネスモデルの転換を急いでいる。1日、声でスマートフォン(スマホ)を操作できるイヤホンや専用機器をドイツで披露。あらゆる機器がネットにつながる「IoT」技術にかける意気込みを示した。見据えるのは家電や情報機器、住宅設備が切れ目なくつながり、自在に情報やコンテンツをやりとりする時代だ。単品勝負から脱し、独創的なサービスを生む力が試される。

「あなたの行動やクセを把握し、双方向のコミュニケーションが快適になります」。独家電見本市「IFA」の記者会見でソニーモバイルコミュニケーションズ(東京・品川)の古海英之EVPは新型イヤホン「エクスペリアイヤー」を11月に発売すると明かし、その利便性に自信を見せた。

マイクを搭載し、スマホと無線でつながる。ポケットに入れたままでも声や頭の傾きでアプリの起動、メッセージの読み上げ、発信などができる。対応するスマホ側に人工知能を備え、スマホと「会話」をするほどに利用者の言葉やクセを識別する能力が高まる。

IFAではIoT機器の展示に力を入れる。語りかけてスマホや家電を操作できる専用装置、画面を映した壁をタッチしてスマホを操作できるプロジェクターもその一例だ。ソニーの平井一夫社長は「スマートテクノロジーでKANDO(感動)を生む」と宣言した。

なぜIoTに注力するのか。単品の機能だけで勝負するのは限界があるからだ。商品を売って終わらず「利用者へのサービスを通じて収益を稼ぐ『リカーリングビジネス』の創出が不可欠」と平井社長は強調する。IoTはその課金モデルを生む「培養地」となる。

ソニーには苦い記憶がある。いち早くネット音楽配信を始めたが、2000年代に携帯音楽プレーヤー「iPod」をひっさげた米アップルに惨敗したのだ。配信曲数と使い勝手で大きな差が出たことが敗因だった。

この反省を踏まえ、家庭用ゲーム機「プレイステーション」シリーズを受け皿にした音楽・映像配信事業は好調だ。ネットから様々なコンテンツを取り込んで楽しめるスタイルでゲーム愛好者以外にも顧客を広げた。「ゲーム&ネットワークサービス」事業の16年3月期の連結営業利益は前の期比84%増の887億円だった。

課金モデルは「数」が重要だ。今回披露した機器はいずれ白物家電や住宅設備と連携するかもしれない。ソニー製以外にもつながればサービスを届ける利用者は増える。

これまでは自前主義が強く、ときにサービス拡大を妨げてきたが「オープン化」にカジをきる。

東京電力ホールディングス子会社とスマートホーム事業で提携を検討し、ネスレ日本とは通信機能付きコーヒーマシンを使う安否確認サービスに乗り出す。スマホで家電を動かすヤフーのアプリの活用も検討する。

ライバルの動きも活発だ。パナソニックは家電と住宅を軸にしたIoTサービスを強化する方針で、韓国サムスン電子もIoTに巨費を投じる。

ソニー幹部は「今はインターネットが出てきた頃と似ている。山ほどIoTサービスが生まれては淘汰されるだろう」と予想する。ソニーは構想を画餅に終わらせないために、新しい発想を貪欲に取り込む必要がある。

(ベルリン=中藤玲)

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