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半導体ウエハー、台湾大手の賭け

グローバルウェーハズ、破格の条件で米社買収 日本勢の牙城に挑む

半導体の基幹材料のシリコンウエハー業界で、台湾メーカーが再編を仕掛けた。世界6位の環球晶円(グローバルウェーハズ)が、同4位の米サンエジソン・セミコンダクターを6億8300万ドル(約680億円)で買収すると発表。世界シェアは信越化学工業SUMCOの日本2社に次ぐ3位に浮上する。台湾IT(情報技術)産業の苦戦が目立つなか「米台連合」で日本勢に挑み、活路を見いだす。

「これで信越やSUMCOといった優秀な日本企業に接近できる」。環球晶円の徐秀蘭董事長は18日に台北市内で開いた買収の記者会見で満足げに笑みを浮かべた。

期待するのはシナジー効果だ。環球晶円は省エネ効率の高い製品の製造技術が強み。一方、サンエジソンは高性能の半導体デバイス向けのウエハーを得意とする。「重複分野が少なく、効率的に技術開発を進められる」(徐董事長)

視線の先には日本勢の背中がある。半導体ウエハー市場では信越化学とSUMCOが同程度のシェアで、全体の5割超を占めるもよう。台湾メディアによると環球晶円とサンエジソンの合計シェアは17%程度で、日本勢にじわりと接近する。

サンエジソン株の今回の買い付け予定価格は1株12ドル(約1200円)。直近30営業日の同社の株価の平均値を8割近く上回る。

破格の条件での買収に踏み切るのは、すべてのモノがネットにつながる「IoT」時代の半導体需要を見込んでのことだ。自動車やインフラなどあらゆる場所がネットワークでつながる時代では半導体の需要が高まるとみられている。

環球晶円は台湾の太陽光パネル向けウエハー最大手、シノ・アメリカン・シリコン(SAS)の子会社だ。SASの事業部が独立する形で2011年に発足。翌12年には旧東芝セラミックスを源流とするコバレントマテリアル(現クアーズテック)の半導体向けウエハー事業を買収し、業容を拡大した。

サンエジソンは米ナスダック上場で、欧州や韓国市場などに強みを持つ。環球晶円は各国・地域の独占禁止法などに基づく審査を経てTOB(株式公開買い付け)を実施し、年内には買収を完了させたい考えだ。

「台頭する中国勢に対し手を打った側面もある」。半導体に詳しいアナリストはこう読む。半導体向けの高純度のウエハーを低コストで生産するのは難しく、そのために2社の寡占が続いてきた。ただ中国は国家プロジェクトである半導体産業の育成に向けウエハーの生産にも乗りだしている。将来的には追いついてくる可能性があり、下位に甘んじていればのみ込まれかねない。

株式市場はこの買収をいったん、日本2社の強材料ととらえている。SUMCO株は19日、一時前日比16%高の944円まで上昇し、1月の年初来高値(921円)を更新した。信越化学工業株も同2%高の7298円となった。業界の寡占化が進み、ウエハーの価格競争が沈静化するとの思惑から買われた。

一方、調査会社ガートナージャパンの小川貴史リサーチ・バイスプレジデントは「コストダウンで2社による寡占を崩すのが狙い。将来は日本勢の脅威となる可能性がある」と指摘する。

業界の競争の激しさは数字に表れている。半導体製造装置の国際業界団体SEMIによると、半導体ウエハーの出荷面積は15年実績で前年比3%増の約104億平方インチ。一方、販売額は同5%減の72億ドルだった。

環球晶円が台湾企業が得意とする低コスト生産を強めれば、価格競争が激化する可能性もある。下位メーカーが連合して挑む再編劇は日本勢を脅かしかねない。

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