製造業が経常益21%減 4~6月、減益は25業種に拡大 - 日本経済新聞
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製造業が経常益21%減 4~6月、減益は25業種に拡大

上場企業の2016年4~6月期は、円高が影を落とした製造業の経常利益が前年同期比21%減った。業績悪化は小売りなど内需系企業の一角にも及び、非製造業も11%減益となった。金融を除く全32業種のうち25業種の損益が悪化。一部の大手企業の巨額損失が全体の足を引っ張っていた16年1~3月期までとは構図が変化した。

上場企業全体の経常利益は前年同期に比べ17%減り、4~6月期として4年ぶりの減益になった。純利益も2割減少。トムソンロイターによると米国は2.5%、欧州は7.8%減益にとどまっており、日本企業の業績悪化が際立つ。

製造業の収益悪化の最大の要因が円高だ。4~6月期の平均為替レートは1ドル=108円と前年同期より13円の円高・ドル安となった。海外で稼ぐ代表格である「電気機器」「自動車・部品」「機械」の3業種の減益額は8474億円と、全32業種合計の減益額(1兆5749億円)の5割強を占めた。

16年3月期の業績が好調だった業種でも収益力が低下した。「化学」は全体で2割の減益。三菱ケミカルホールディングスは樹脂原料となる基礎化学品の市況悪化などが響き、税引き前利益(国際会計基準)が22%減った。住友化学は成長事業と位置付ける健康・農業関連と情報電子分野が苦戦し48%減益となった。

非製造業では商社の不振が続いた。住友商事の税引き前利益(国際会計基準)は66%減った。銅やニッケルの価格低迷などが響いた。「資源安をコスト削減で補えなかった」(高畑恒一最高財務責任者)という。資源安の影響で「海運」の経常損益は赤字に転落した。ばら積み船やコンテナ船の市況が悪化した。

これまで業績が底堅かった内需系企業が息切れする例が多かったのも特徴だ。

「小売業」の経常利益は12%減った。訪日外国人(インバウンド)の高額品買いの勢いが陰り、三越伊勢丹ホールディングスの経常利益は4割減った。国内の高額品消費も低迷し、利益率の高い婦人衣料も不振だった。

インバウンド関連では、ANAホールディングスの経常利益も3割減った。中国路線の単価下落が大きかった。4月の熊本地震の影響で国内線の利用も減った。シチズンホールディングスは外国人観光客の購入一巡で、国内の量販店向けの時計売り上げが減った。

市場関係者からは「内需関連企業の4~6月期実績はネガティブサプライズが目立った」(朝日ライフアセットマネジメントの佐久間真氏)との声が聞かれる。

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