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「ドル不足」懸念再燃 銀行間金利、高水準

国際金融市場で、ドルが足りなくなるのではないかとの懸念が再び強まっている。市場に出回るドルが減っており、短期市場で金融機関がドルを借りる際の金利は足元でリーマン・ショック後の混乱が続いていた2009年以来、7年ぶりの高水準に上昇した。背景にはドルで運用する金融商品を対象にした米国の規制強化があり、邦銀も警戒を強めている。

指標となるドルのロンドン銀行間取引金利(LIBOR)は3カ月物が8日に0.8%台を突破した。米連邦準備理事会(FRB)が昨年末に利上げして以降、高めで推移していた3カ月物は7月から上昇ペースを速め、ここ1カ月の上昇率は0.2%近い。

金利が急に上がりはじめたのは、短期金融市場でドルの出し手となっている米国のMMF(マネー・マーケット・ファンド)に対する規制が今年10月に強化されるためだ。規制の施行日が近づくにつれてMMFが短期市場での運用を減らし、金利を押し上げている。

MMFは投資家から集めたお金を米短期国債のほか、金融機関や企業が発行するコマーシャルペーパー(CP)、譲渡性預金(CD)などで運用する投資信託の一種だ。安全性や換金性に優れた身近な投資手段として浸透している。

米投信協会(ICI)によると、8月3日時点でMMF市場の資産残高は全体で2兆7387億ドルに上る。

今回、規制が強化されるのは市場全体の35%を占める「プライムMMF」と呼ばれる商品。民間企業や金融機関が発行するCPを中心に運用する。新たな規制が導入されると、投資家はリーマン・ショックのような危機で市場の流動性が著しく低下した場合に保有するプライムMMFを解約しにくくなる。

規制強化の背景には、リーマン・ショック時にプライムMMFの一部が元本割れしたのをきっかけに取り付け騒ぎが発生し、危機に拍車をかけたとの反省がある。

規制後は簡単に換金できなくなるかもしれないとの懸念から、投資家はプライムMMFから資金を引き揚げている。3日時点の資産残高は9671億ドルと、直近ピークの昨年10月時点から3割以上減った。

資金流出の動きは邦銀のドル調達に大きく影響する。プライムMMFの組み入れ資産には、邦銀がドルを調達するために発行したCPも含まれているためだ。邦銀などCPの発行体は新たなドルの調達先の確保を余儀なくされており、これも市場でのドル資金の取りにくさにつながっている。

日銀は7月29日の金融政策決定会合で、邦銀のドル資金調達を支援する特別措置を打ち出した。この結果、足元の邦銀のドルの調達不安はいったん和らいだ。

ただ、米国が規制を施行する10月に向け、市場のドル不足は収まっていない。FRBが追加利上げに踏み切るとの観測もくすぶる。「調達コストが高止まりし、邦銀の海外ビジネスや外債投資の収益に影響を与える可能性がある」(野村資本市場研究所の岡田功太氏)と警戒する声は根強い。

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