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ベトナム、小売り規制緩和で異業種続々

ビンはコンビニ1万店 多店化で外資に挑む

ベトナムの小売市場で現地の異業種企業の進出が相次いでいる。不動産大手のビングループは2019年末までにコンビニエンスストアを1万店出店する計画。衣料品メーカーだったカニファもカジュアル衣料品店の出店を急ぐ。出店規制の緩和で多店舗展開しやすい環境が整ってきたことが背景だ。同国にはイオンなど外資系小売企業の進出も相次ぐが、地元勢は好立地への出店などで対抗。厚みを増す中間層を取り込む。

ビングループが展開するコンビニ「ビンマートプラス」はハノイやホーチミン市の旧市街で急増している(ハノイの店舗)

狭い路地が多いハノイの旧市街。フランス統治下の歴史を感じさせる古い建物が並ぶ一角に「ビンマートプラス」と書いた目立つ看板の小型店舗がある。店内は1メートルもない通路をはさんで加工食品、飲料、野菜、文房具、おもちゃがずらりと並ぶ。毎日愛用しているという会社員のグエン・キエウ・アインさん(36)は「バイクから降りてすぐ買えるし、会計も早くて便利」と満足そうだ。

14年10月に地元スーパーを買収して小売事業に参入したビングループ。昨年後半からはコンビニ店「ビンマートプラス」の出店を始め、すでにハノイとホーチミン市で計880店を展開する。

01年設立でウールなどを手掛ける衣料品メーカーのカニファも14年から本格的に小売事業を始めた。「ユニクロ」と見まがう店作りや品ぞろえが特徴だ。価格はユニクロよりやや安い程度。ベトナムの一般的な消費者から見れば割高だが中間層の支持を得て店舗数は70店を超えた。

「ユニクロ」と見まがうような店作りのカニファの店舗(ハノイのイオンモール)

多店舗展開を後押しするのが政府の規制緩和だ。同国では新しい小売店を出す際には地元企業への影響などを当局が審査する制度があるが、基準は明確でなかった。チェーン展開を難しくしていた理由の一つだ。

変わり始めたきっかけが07年の世界貿易機関(WTO)への加盟。透明性のある市場づくりが始まり、出店にかかわる規制緩和も進んだ。今年5月には政府が500平方メートル以下の小型店なら当局の審査が不要となる規制緩和策を発表、早ければ年内にも実施される。

中間層の拡大で小売市場の魅力も増す。業界団体などによれば、ベトナムの小売市場は15年に1098億ドル(約11兆円)。この5年で2.4倍に膨らんだ。20年には1790億ドルまで増える見通しだ。

もちろん、人口9300万人のベトナム小売市場には外資系の進出も相次ぐ。14年からホーチミン市やハノイに大型モールを開業してきたイオンは7月に4号店を開業。コンビニでは「セブンイレブン」が18年2月までの進出を計画する。

資本力や店作り、品ぞろえで先を行く外資勢。地場勢には勝機はあるのか。

ビングループは本業の不動産事業のノウハウを生かす。「外資勢が出てくる前に好立地を押さえる。新店の3割が当面赤字でも構わない」。ファム・ニャット・ブオン会長は言い切る。各地域の土地の利権関係や開発計画を熟知する強みをフルに生かす戦略だ。

同社はコンビニ以外でも19年末までに400のショッピングセンターを出店、家電量販などへも業態を広げる。「全売上高の2割にとどまる小売業の比率を数年内に5割に高める」。ブオン会長の鼻息は荒い。

異業種勢力の進出に現地の小売企業も対抗心を燃やす。ハノイ地盤の食品スーパー「バックトム」。同社は有機野菜専門店で「食の安全」への意識を高める中間層を取り込む。契約農家は200軒近く。伝統的な市場で野菜を買う消費者を呼び込み、現在は27店舗を構える。

課題は未成熟な物流インフラだ。狭い道路にひしめくバイク。交通渋滞は慢性化しており、配送効率は低い。冷凍・冷蔵の低温物流網の整備もこれからだ。外資勢はそうした脆弱なインフラでも展開するノウハウを持つ。新参者だからこそ抱える弱みを克服できるかが成長のカギを握る。(ハノイ=富山篤)

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