伊藤忠「会計処理はすべて適正」 米投資ファンドの指摘に反論

2016/8/2 23:25
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空売り専門の投資ファンド、米グラウカス・リサーチ・グループが伊藤忠商事の会計処理に疑問を示した問題に関し、伊藤忠の鉢村剛・最高財務責任者(CFO)は2日の決算会見で「会計処理はすべて適正だ」と主張した。グラウカスがリポートで示した3つの指摘にそれぞれ反論した。

グラウカスは伊藤忠の過去の会計処理を問題視し、同社株を売り推奨とするリポートを7月27日に出した。これを受けて同日の伊藤忠株は終値で6%下落。2日終値も1159円とリポート公表前を8%下回る。

鉢村CFOが反論したのは、1つ目がコロンビアの石炭権益についてだ。グラウカスは伊藤忠が2015年3月期決算で持ち分法投資の対象から外し、減損損失の計上を回避したとする。鉢村CFOは「資源安のリスクを考えて(伊藤忠は)追加投資に応じなかった。(他の出資者が追加投資に応じ)株式の希薄化が起きる見込みとなったため、持ち分法投資から外した」と主張した。

2つ目は中国政府系の中国中信集団(CITIC)にからむ会計処理だ。伊藤忠とタイ財閥は昨年、CITICの中核企業に共同で2割を出資した。伊藤忠は中核企業を持ち分法適用会社としたが、グラウカスは伊藤忠が重要な影響力を及ぼせないため妥当ではないと指摘する。これに対し、鉢村CFOは「出資先は香港市場に上場している企業であり(伊藤忠は)議決権行使もできる」と説明した。

3点目が台湾系食品大手、頂新グループを持ち分法投資対象から外した際の処理。投資区分の変更に伴って保有資産を再評価し、伊藤忠は約600億円の再評価益を計上した。「CITICとの協業に向け、長い時間をかけて議論して連結対象から外した」(鉢村CFO)。頂新グループとの間で交わした、事業での競合を避けるとの合意に抵触する恐れがあったためという。

アナリストなど市場関係者は「会計ルールに従った処理」との見方でおおむね一致する。みずほ証券の林明史シニアアナリストは「将来のキャッシュフロー創出力が変わらなければ、伊藤忠の価値への影響はあまりない」と指摘する。

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