薄鋼板在庫、2年4カ月ぶり低水準 生産調整が進展

2016/8/2 0:05
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自動車や家電製品、建材に使う薄鋼板の在庫は6月末、2年4カ月ぶりの低水準となった。高炉メーカーが取り組む生産調整の進展に加えて輸出も堅調で、適正水準の目安となる400万トンに迫る。在庫圧縮が一段と進めば、各社が掲げる値上げの浸透につながる可能性がある。

主要3品種(熱延、冷延、表面処理)の在庫は402万トンとなり、前月末に比べて3.8%減った。6月の減少幅は16万トンとなり、過去10年の平均(7万トン)を上回った。

6月の国内の薄板生産は2014年に比べ11%減り、高炉各社は低水準の生産を継続する。4月の熊本地震で部品供給が滞り、自動車メーカーなどの鋼材需要が落ち込んだ影響も一巡した。

新日鉄住金の栄敏治副社長は「在庫循環のサイクルをみると、薄板の在庫は早晩、適正な水準に戻るだろう」と指摘する。高炉各社は16年度下期に自動車や建築向けの鋼材需要が回復すると予測する。

鋼板の加工業者で組織する全国コイルセンター工業組合によると、6月の加工量は前月に比べて15%増えた。鋼板加工を手がける奥沢産業(千葉県浦安市)の奥沢公明・代表取締役は「(自動車メーカーなどの)下請け会社の需要は回復基調にあり、顧客に値上げをお願いしている」と語る。

在庫の減少が進めば、流通市場での値上げが浸透するとの観測も浮上する。新日鉄住金は薄鋼板の一般流通(店売り)向け価格を約2割引き上げると表明、他社も含めて春先から相次いで販売価格の引き上げを打ち出した。

多くのコイルセンターや問屋は7月から値上げを反映した鋼板を仕入れている。仕入れ価格上昇が損益を圧迫する逆ざや状態を解消するため、「8月から値上げ交渉を本格化せざるを得ない」(鋼材商社)との声が出ている。

建築向けを中心に需要の見通しは不透明感が漂い、値上げの浸透には時間がかかるとの見方も根強い。円高で韓国や中国から輸入材が増え、価格の下押し圧力が高まる可能性もある。

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