トヨタ系5社減益 英EU離脱の影響注視

2016/7/30 7:01
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円高の影響などで5社が営業減益となったトヨタ自動車グループ主要8社の2016年4~6月期の業績。通期を見渡せば新興国経済のリスクに加え、英国の欧州連合(EU)離脱問題に関連した欧州経済の先行き懸念もくすぶる。熊本地震やアイシン精機子会社での爆発事故で止まった自動車の生産が挽回するかどうかも焦点だ。

「足元でそれほど影響はないが、今後の行方は不透明だ」――。豊田自動織機の河井康司常務役員は英国のEU離脱問題を注視する構え。同社は英国にフォークリフトの販売拠点がある。

トヨタグループではデンソーやアイシン精機などが現地に生産拠点を持つ。「売上高約30億円のほとんどが英国内向けで影響は大きくない」(アイシン精機の川崎有恒常務役員)とはいうものの、離脱がどう実現するかや実体経済に与える影響は未知数だ。

新興国経済の先行きも懸念材料だ。豊田合成の小林大祐取締役は「新興国での需要回復の状況はまだらだ」と明らかにした。同社は中国やタイ、インドネシアなどでエアバッグやドア枠用のゴム製品の生産拠点がある。

今秋からトヨタの新しい小型多目的スポーツ車(SUV)「C-HR」の生産が始まるトルコでは、15日にクーデター未遂事件が発生。豊田通商やアイシンなどは現地駐在員に注意喚起したほか、不要不急の出張を避けるよう呼びかけた。

英EU離脱問題は、外国為替市場も揺さぶった。円相場が一時1ドル=99円台となったこともあり、この日記者会見した各社の幹部には「中期的に円高傾向が続く」(ジェイテクトの高橋伴和常務)という見方が多い。

デンソーは為替予想の変更に伴う収益の減額分だけを通期業績に反映しており、「どうカバーするかは下期の計画の中で考える」(松井靖常務役員)。豊田自動織機やジェイテクトは「リーマン危機以降取り組んできた原価改善を続ける」としている。

4月には熊本地震、5月にはアイシン精機子会社アドヴィックス(愛知県刈谷市)の工場爆発事故と、トヨタの自動車生産ライン停止につながる災害や事故も相次いだ。その影響は、この日公表した6社の合算で営業利益を約200億円下押しする要因になった。

「よほどのことがなければ年度内に挽回できるだろう」――。デンソーの松井氏はこう期待する。すでにトヨタも工場で土曜出勤を実施するなど挽回生産を始めた。今後も安定的に生産を続けられるかどうかが、グループ各社の通期業績を左右することになる。

(横田祐介)

決算会見から一言

デンソー 松井靖常務役員

この2~3年は国内で新製品や新工法を立ち上げることが多かった。安定性を優先するためだったが、今後は海外生産を進め、為替リスクを吸収できる体制を作る。

アイシン精機 川崎有恒常務役員

熊本地震でドア部品の供給が止まったことを受け、重要性が高い部品は5日分の在庫を持つことにした。金型も2カ所に分散して置くなど、対策を進めている。

豊田自動織機 河井康司常務役員

為替は1ドル=100円を割り込む局面があり社内でも議論になったが、期初の前提を据え置いた。リーマン・ショックを機に始めた収益改善策を継続していく。

豊田通商 柳瀬英喜常務

当社の欧州事業は全体の5%程度にとどまり、欧州情勢が及ぼす直接的な影響はそれほど大きくない。ただ、現地には自動車・部品工場があり、状況を注視している。

ジェイテクト 高橋伴和常務

(円高に対応するため)原価改善に愚直に取り組んでいく。既に軸受け事業では欧州や日本で構造改革を進めており、円高方向に振れても生き残れるようにする。

トヨタ紡織 鈴木輝男専務役員

北米ではトヨタ自動車の生産体制の見直しに伴い「カムリ」向けのシート供給が減るが、(新製品の立ち上げなどに際して)損失を出さない体質が定着してきた。

豊田合成 小林大祐専務執行役員

米国では多目的スポーツ車(SUV)やピックアップトラックの販売が伸びている。こうした車種は部品の単価も高く、収益性の改善に貢献した。

愛知製鋼 鵜飼正男副社長

1月に工場で爆発事故を起こした反省に立ち、事業の見直しを進める。製鋼と鍛造を一気通貫で管理する仕組みを導入し、(必要な分だけ作る)プル生産へと変えていく。

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