三菱UFJ銀、国債保有は最低限に 特別資格返上発表

2016/7/14 0:39
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財務省は13日、国債入札に有利な条件で参加できる特別資格の指定から三菱東京UFJ銀行を15日付で除外すると発表した。邦銀の指定が取り消しとなるのは初めて。日銀のマイナス金利政策で国債を長期保有すれば損失を被りかねない事態となっていた。最大手銀の指定取り消しで安定消化に向けた国債の管理政策は転機を迎えた。

菅義偉官房長官は13日の記者会見で「市場と緊密に対話しながら適切な国債管理政策をしっかり行っていきたい」と述べた。

同日取材に応じた三菱UFJ銀の内田和人常務執行役員はグループの三菱UFJモルガン・スタンレー証券とモルガン・スタンレーMUFG証券に国債の売買業務を集約する戦略だと説明した。その上で「取引の担保にする目的以外ではマイナス金利水準の国債に投資をしない」と中長期的には銀行の保有額を最低限に減らす考えを示した。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は7月から顧客の投資注文を市場につなぐセールス&トレーディング業務をコスト削減などのために銀行と証券会社で一体化している。内田氏は「(グループ全体でみれば)国債に対するスタンスが変わったわけではない」と強調し、日銀のマイナス金利政策が資格返上の原因との見方を否定した。

ただ同時に内田氏は銀行としてマイナス金利水準の国債には原則投資しない考えも明らかにした。三菱UFJ信託銀行も含めた銀行の保有国債は27兆円に上るが、取引の担保などで必要なのは15兆円程度にとどまる。マイナス金利政策が長期化すれば銀行の保有残高は今後もじわじわと減少する公算が大きい。

マイナス金利に対し、大手銀行は財務省から落札した国債を短い期間で日銀などに転売する「日銀トレード」を拡大させてきた。だが銀行は購入した国債を長期保有の目的として会計処理している。三菱UFJ銀は今回「金融規制が強化されていくなかで、国債の短期売買にはより説明責任が求められるようになる」(内田氏)と判断した。

3メガバンクの国債などの売買益は2013年3月期の4842億円から16年3月期は2815億円に落ち込んでいる。国債の売買益に頼る銀行はかつて長期デフレの原因になっていると批判されたが、今回の資格返上はこうした構図が低金利や金融規制の強化を背景にして完全に崩れつつあることを示した。

銀行はさまざまな取引の担保として国債を持ち続けなければならないため、国債利回りが急上昇(価格は下落)すれば銀行収益への影響は大きい。内田氏は「国債発行の安定消化には引き続きトップレベルの貢献をしていきたい」と話し、仮に国債の安定消化が難しくなった場合には特別資格を再取得することも選択肢に入ると表明した。

三菱UFJ銀はゆうちょ銀行を除けば国債の最大保有者だ。そのトップバンクが国債の安定消化を支える仕組みから初めて脱退する。国債市場の主役は民間銀行から日銀に完全に入れ替わったといえそうだ。

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