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中国、日本の改憲警戒 韓国は対話姿勢維持

参院選で安倍晋三首相がめざす憲法改正に前向きな勢力が、非改選と合わせて改憲の発議に必要な3分の2を確保した。中国は安倍政権が憲法改正に動き始めるとの警戒を強めている。韓国は安倍政権の安保政策への警戒を緩めないものの、北朝鮮核問題や従軍慰安婦問題など日韓が直面する課題を対話で解決をめざす姿勢を維持する。

中国では憲法改正に動き始めると警戒を強める(中国の国営中央テレビ)

【北京=永井央紀】中国は安倍晋三首相が参院選で政権基盤を強化し、憲法改正に動き始めるとの警戒を強めている。中国の南シナ海や東シナ海での海洋進出に対する日米の連携強化は、中国の外交・安保政策の妨げになると懸念するためだ。日中両国の首脳が顔をそろえる今秋以降の国際会議に向けて、選挙後の安倍政権の出方を見極める構えだ。

国営新華社は日本時間10日午後8時すぎ、日本メディアの出口調査結果を紹介し「自民党、公明党が改選議席の過半数を獲得し、憲法改正に前向きな勢力が全議席の3分の2に届く可能性がある」と速報した。国営中央テレビも同日夜のニュース番組で「改憲できるかどうかの大事な一戦を迎えた」と短く伝えた。

中国での参院選への関心は高く、特に焦点があたるのは憲法改正に前向きな自民党、おおさか維新の会、日本のこころを大切にする党の3党と無所属議員、「加憲」を掲げる公明党を合わせた改憲勢力の動きだ。

国営新華社は9日に配信した評論記事で「安倍晋三首相は宿願である憲法改正を巧妙に隠し、アベノミクスや消費増税延期を争点にして票を取り、平和憲法改正の道をつけようとしている」と指摘。中央テレビが紹介する日本の有権者や有識者の声は「いずれ憲法9条も変えるのではないかと心配している」といった懸念が中心だ。

中国政府・共産党内では自公両党の勝利は織り込み済みだ。安定政権が続くことを前向きに受け止める声がある一方、「南シナ海や東シナ海の問題で中国に対抗する政策を続ける限り、本格的な関係改善は遠い」(外交関係者)との主張が多い。

今年後半は9月に杭州で開く20カ国・地域(G20)首脳会議、年内に日本で開催する見通しの日中韓首脳会議など日中首脳が顔を合わせる機会は多い。中国は参院選後の安倍政権の憲法改正への動きや外交安保政策を見極め、対応を探る構えだ。

【ソウル=峯岸博】韓国政府は日本の参院選での与党勝利を「織り込み済み」として、安倍晋三政権との連携を進めていく方針だ。韓国メディアは参院選後に、日本で安倍首相が宿願とする憲法改正論議が本格化するとの見通しを伝えた。

聯合ニュースは10日夜、日本政界が「改憲政局」に急速に向かっていくと分析。MBCテレビは「アベノミクス」が支持を受ける一方で、安倍政権が「改憲の橋頭堡(きょうとうほ)を確保すれば今秋から改憲の動きが始まる可能性が大きい」とし「わが国をはじめ北東アジア情勢に荒波が予想される」とした。

SBSテレビは安倍政権の安全保障政策に柔軟性が増すと分析。安倍首相が「憲法9条改正を試みるだろう」としたうえで改憲には国民投票が変数になるとも指摘した。

朴槿恵(パク・クネ)大統領は安倍首相と昨年末の慰安婦問題に関する日韓合意の際に、両国が安全保障や経済分野での協力を進める重要性を確認している。韓国政府は「右寄り」とみる安倍政権の安保政策に警戒を緩めないものの、「当面は『安倍1強』の日本とつき合っていくしかない」(関係者)との立場。「日韓関係では安倍政権は抑制している」(同)と評価する声もある。

韓国政府が懸念するのは、慰安婦合意の履行をめぐる日本の強硬論だ。韓国側が「解決への努力」を約束したソウルの日本大使館前の少女像移転が進まない現状への不満が日本政界で表面化すれば、韓国内を刺激し、野党や市民団体の「合意無効論」を勢いづかせるためだ。「ポスト・朴」を決める次期大統領選が来年末に迫り、朴氏は一段と窮地に追いこまれる。

韓国メディアは日本の参院選について、憲法改正に前向きな「改憲勢力」が非改選と合わせ国会発議に必要な3分の2に達するかが焦点になると注視してきた。

東亜日報は改憲が日本の保守勢力の宿願だとし、与党が勝利した場合に「改憲論議が本格化しそうだ」と分析。京郷新聞は「11月で公布70周年を迎える日本の『平和憲法』は重大な岐路に立った」と伝えた。各紙とも日本国民は改憲への慎重論が多いとの世論調査結果も併せて紹介し、安倍政権にとって改憲へのハードルになるとみている。

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