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大手、革新はVB頼み オープンイノベーション白書

ベンチャー企業(VB)や大学といった外部の技術やアイデアを生かす「オープンイノベーション」が大手企業で増えてきた。市場が変化するスピードが速まるなか、幅広い知恵を集めないと革新的な製品を開発できずに取り残される。製造業だけでなく小売り企業も導入に動くが、染みついた自前主義からの脱却は一筋縄にはいかない。

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が8日に初めてまとめたオープンイノベーション白書。「自社リソースのみでイノベーションはもはや不可能」と断言している。10年前と比べて外部との連携を増やした企業は45%にのぼる。

大手が革新の種を求める先は以前ならあまり関係なかった業種のベンチャーだ。三越伊勢丹ホールディングスはベンチャー対象の投資会社を設立した。人工知能(AI)やエンタメのノウハウを持つ企業を探す。例えばAIベンチャーとは、流行や顧客の購入履歴からその人が欲しそうな商品を探り当て、店員が提案する仕組みを開発する。

すでに1社にマイナー出資しており、近く2、3社に出資する。電子商取引(EC)が台頭しているが「外の力を入れて新しい体験ができる売り場を作れば客は来る」(白井俊徳常務)とみる。

日産自動車は会津大学発ベンチャー、会津ラボ(福島県会津若松市)と組んで電気自動車(EV)の電源としての活用法を探る。ドローンとケーブルでつなぎ電気を供給しながらEVが移動。長時間、広い範囲で農作物を上空から監視する仕組みを開発する。自動車メーカーのアイデアだけでは限界がある。家庭向けや災害時の電源に続く新たな用途開発を進め、EVの付加価値を高める。

開発計画や技術を広く公開して協業相手を探すのが大阪ガス。「廃水処理」といった欲しい技術をホームページ上に載せて、それに強いベンチャーや大学を募る。「関西で事業をしていても人口減で頭打ち。新事業を早く立ち上げるには外の知恵が必要」と考える。

日本ではようやく広がってきたが、先行するのは欧米だ。米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は売上高の半分を社外技術を使った製品で稼ぐ。水溶性フィルムの企業と組んで開発したジェルボール型の衣料用洗剤をはじめ、多くのヒット商品を生んでいる。

ただ、難しさはある。一つはどこまでさらけ出すかという点だ。情報を出さないと協業相手が集まらず、出し過ぎると技術漏洩につながる。情報公開に対して根強い抵抗がある企業も多い。成果の分配も決めなければならない。大手がベンチャーのアイデアを使ったのに分け前を与えずにもめたケースもある。

NEDOイノベーション推進部の久木田正次部長は「トップ直結でないとうまくいかない」と指摘する。協業をするかどうかの決断が社内稟議(りんぎ)を通すために時間がかかり、ベンチャーに愛想を尽かされた大手もある。コマツは最高技術責任者(CTO)直轄の推進部署を設けた。大手もベンチャーの時間軸を持つ必要がある。(阿曽村雄太、光井友理)

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