金融審、販売手数料あり方議論 投資商品選びの材料に
金融庁は6日の金融審議会で、金融機関が投資商品の販売で受け取る手数料のあり方を含め、個人が安心して投資できる環境づくりの議論を始めた。同庁は投資商品の売れ筋は「手数料が高水準で不透明」と指摘。顧客のニーズより自らの実入りを優先している販売姿勢にメスを入れ、手数料の積極的な開示を促す。
金融庁は昨年以来、「フィデューシャリー・デューティー(受託者責任)」という言葉を掲げ、金融機関に対し顧客の利益を最優先に行動することを求めてきた。投資信託や貯蓄性保険などの販売現場で「顧客本位とはいえない販売実態」があり、結果的に個人が投資を敬遠する一因になっているとみているからだ。
金融庁は金融審で、投資信託の売れ筋は金融機関が手数料を稼ぎやすい商品で、外貨建ての一時払い生命保険はそもそも手数料自体が高く不透明だと指摘。実際、日米で売れ筋投信の手数料を比べると米国が0.59%なのに対し日本は3.2%。外貨建ての一時払い生保は7%程度になる。
しかも保険は現在、手数料を開示していない。6日の金融審でも、消費者代表の委員が一時払い生保を引き合いに、「顧客の利益ともうけのバランスを考え『品格のあるもうけ方』を考えてほしい」と訴えた。金融庁は金融商品のリスク特性を分かりやすく説明することに加え、手数料を開示することで個人が商品を選ぶ際の重要な判断材料になるとみている。
金融庁は特定の商品を対象に手数料を開示させるのは「対症療法にすぎず抜け穴ができる」(幹部)と考えている。このため監督指針の改正ではなく金融審で議論。今年度中をめどに金融機関が守るべき根幹となるルールづくりを進める方針だ。