増えるマネー、上がらぬ物価 日銀資金供給 初の400兆円超え

2016/7/5 0:26
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 日銀が供給するマネーの総額が6月末に初めて400兆円を超えた。日銀は資金供給を増やせば脱デフレが実現できると主張するが、足元の物価は前年の水準を下回り、日銀が目指す2%の物価上昇は遠い。市場の一部では追加緩和期待もくすぶる一方、金融政策の限界も近づきつつある。

 日銀の資金供給額は名目国内総生産(GDP)の8割に達し、2割程度の米国やユーロ圏と比べても群を抜いて多い。

 「マネタリーベース(資金供給量)を2年で倍増する」。日銀の黒田東彦総裁は異次元緩和政策を導入した2013年4月、市場への資金供給を「市場参加者の常識を超える極めて巨額なもの」にすると約束した。

 市場にお金があふれれば、長期金利の低下が見込めるうえ、銀行融資や株式投資の増加で経済が活性化する。金利低下で円安が進み、人々の先行きへの見方が前向きになれば、デフレも脱却できるとの考えだった。

 それから3年余り。日銀が4日公表した資料によると、資金供給量は当時の2.7倍となる403兆円に増えた。日銀は14年10月に追加金融緩和に踏みきり、年80兆円のペースで資金供給を増やし続けている。16年1月にはマイナス金利政策の導入も決めた。

 問題は、大胆な金融緩和にもかかわらず、肝心の物価がいっこうに上がってこないことだ。生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)騰落率は5月まで前年同月に比べ3カ月連続のマイナスで、価格下落が激しいエネルギーを除いた指数も上昇率は右肩下がりだ。

 企業も「物価はやはり上がりにくい」と感じ始めている。日銀が4日発表した企業の物価見通しでは、1年後の物価上昇率が0.7%と前回(3カ月前)より0.1ポイント下がった。4四半期連続の低下で、この傾向が続けば企業が値上げや投資に慎重になりかねない。

 「水飲み場に馬を連れて行っても、のどが渇いていなければ水は飲まない」。東短リサーチの加藤出氏は日銀が資金供給をいくら増やしても、企業や家計の需要がなければ効果は期待できないと話す。長期金利は確かに下がったが、日銀は事実上のゼロ金利政策を20年以上続けており、低金利だからといって資金需要は簡単に増えない。

 「金利ゼロの局面で緩和効果が期待できるのは円安だけ」(BNPパリバ証券の河野龍太郎氏)。確かに異次元緩和の導入当初は円安が進み、物価もいくぶん上昇した。ただ、最近は世界経済の先行きリスクの高まりなどで各国が通貨安志向を強め、日銀が金融緩和に踏み切っても円安につながりにくくなっている。

 市場では緩和期待が高まっているが、日銀内でさえ金融緩和の効果に懐疑的な声がある。金融緩和の数少ない効果が為替への影響だとすれば、政策判断は1ドル=102円程度で高止まりする円相場次第となる。

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