2018年2月22日(木)

円100円突破に現実味 EU離脱に身構える市場

2016/6/17 1:52
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 金融市場で英国の欧州連合(EU)離脱への警戒感が一段と広がってきた。安全資産である円への資金逃避で16日は円が一時、1ドル=103円台に突入して水準を切り上げ、1ドル=100円を突破するシナリオも現実味を帯びる。EU残留の場合は円安・株高に転じるとの観測が多い。

 EU離脱を巡る最新の英世論調査は賛否が拮抗しており、市場参加者はどちらのシナリオにも軸足を置きづらい。三井住友銀行の佐藤慎介氏は、「国民投票を前に輸入企業なども為替取引を控えており、値動きが荒くなっている」と話す。

 英中央銀行のイングランド銀行などは、離脱決定なら消費・投資が冷え込むほかポンドも急落し、成長や物価が下押しされると懸念。英や欧州の景気変調が世界経済にも波及する恐れが強い。

 ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏は1ドル=100円超えの可能性もあると予測。円高・ドル安方向へ市場心理が傾いているだけに、弾みで円買いに振れやすい。

 日経平均株価も離脱なら1万4000~1万4500円程度と、年初来安値(1万4952円)を下回るとの予想が市場では多い。

 先進国では安全性が高い国債へ資金が流れ込んでおり、ドイツでは14日に初めて国債がマイナス金利を付け、その後も低下傾向にある。

 日本でも国債利回りは連日、過去最低を更新し、プラス金利の国債は全体の2割弱まで減った。離脱なら金利のさらなる低下が見込まれる。

 各国中央銀行や当局の対応も焦点だ。HSBC証券の城田修司氏は、「英ポンド安や円高に対応した主要国による協調為替介入」も異例の危機対応策に浮上すると見る。

 急激な円高進行で日本の物価下落圧力も強まるのは避けられず、日銀の追加緩和観測も高まりやすい。岡三オンライン証券の武部力也氏は「参院選を控え、政府は1ドル=100円を超える円高は阻止したいはず」と介入に踏み切ると予想。

1ドル103円台で取引される外為市場(16日午後、東京都港区の外為どっとコム)

1ドル103円台で取引される外為市場(16日午後、東京都港区の外為どっとコム)

 バークレイズ証券の福永顕人氏は円高などを理由に「日銀は7月に追加緩和をせざるを得ないだろう」と読む。

 黒田東彦総裁は16日、金融市場が混乱した場合の臨時の金融政策決定会合の是非を問われると「コメントしない」と答えた。政策対応への思惑が交錯し、為替や株価の値動きが荒くなる場面も予想される。

 離脱が回避されれば、これまでの流れが反転し、円安と株高が進むとの見方が多い。円相場は先月末から7円近く円高になり、日経平均は1800円ほど値下がりした。

 野村アセットマネジメントの榊茂樹氏は、投資家のリスク回避姿勢が和らぐとみて「日経平均は1万7000円を回復する」と予想する。

 海外投資家の円売りや株の買い戻しが入りやすくなり、円相場は1ドル=106~108円程度、日経平均は1万6500~1万7000円程度に戻ると市場関係者の多くが見込んでいる。

 最近の円高は英EU離脱リスクだけでなく、米利上げ観測の後退による「ドル安」が誘発している側面も強い。

 イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は15日の記者会見で米雇用などに慎重な見方を示す一方で、「7月利上げの可能性も排除しない」と硬軟両様の構えを示した。

 だが、米先物市場は米雇用の急減速を受け、7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ確率を一時、「0%」と予測。年内利上げの確率さえも15日には50%を下回った。

 みずほ銀行の唐鎌大輔氏も「イエレンFRB議長は雇用減速を明言し、利上げ期待は大きく後退した。英国がEUに残留しても円買い圧力がくすぶり1ドル=110円には届かない」と指摘する。日経平均の上値もしばらく重くなりやすいとの声が出ている。

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