iPS治療再開、関西4機関が連携、再生医療産業育成に弾み

2016/6/7 6:00
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京都大学と大阪大学、神戸市立医療センター、理化学研究所は6日、神戸市で共同記者会見を開き、iPS細胞を使った臨床研究を2017年前半にも再開すると発表した。関西地域でiPS細胞を手掛ける4つの大学や研究機関などが連携して患者への治療応用を加速する。再生医療をテコに関西における健康・医療産業の育成に弾みが付きそうだ。

臨床研究は目の難病である加齢黄斑変性の患者が対象で、4つの機関が役割を分担して進める。

まず京大iPS細胞研究所が日本赤十字社などの協力を得て、健康な人などの血液から治療用のiPS細胞を作る。次に理研多細胞システム形成研究センター(神戸市)の高橋政代プロジェクトリーダーらがiPS細胞から網膜の細胞を作製。神戸市立医療センター中央市民病院の栗本康夫・眼科部長と阪大の西田幸二教授らが患者への移植を担当する。

iPS細胞を使った臨床研究では、14年にも理研などが同じ目の難病で実施している。

会見で高橋プロジェクトリーダーは「新たな臨床研究を4機関で連携してやることになった」と強調。「1回目は1人で荒波にもまれて不安だったが、今回は心強い」と4つの機関が連携する狙いを語った。西田教授は「高橋先生を手伝いたいと強く思っている」と述べ、関西の研究機関が一致団結してiPS細胞による再生医療産業を開拓する意欲を示した。

阪大はiPS細胞を活用した心臓病の臨床研究も計画しており、京大iPS研の山中伸弥教授らの協力を得る。阪大の澤芳樹教授は再生医療関連の法整備が整いiPS細胞の臨床研究が再開することについて「(世界に対する)日本のアドバンテージだ」と強調。複数の研究機関による連携が欠かせないとした。

関西地域ではiPS細胞を活用した産業育成が進んでいる。京大iPS研は島津製作所などと共同で細胞の品質を調べる技術開発に取り組む。神戸市では大日本住友製薬がヘリオスと共同で出資してサイレジェンを設立。iPS細胞から作った網膜の細胞を使い、目の難病である加齢黄斑変性の治験を計画している。

医薬品開発業務受託機関(CRO)大手の新日本科学は今月、神戸市ポートアイランドの「神戸医療産業都市」に拠点を開設した。iPS細胞やそこから作った細胞組織の質が低いと、がんになるなどの危険があるため、同社は新拠点でiPS細胞ががんに変化しないか安全性を調べる試験や、動物の体内に移植した細胞の動きを調べる試験などを受注するとみられる。

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