2019年1月21日(月)

ソフトバンク、1兆円超確保で何を狙う 日本ヤフー株の行方焦点

2016/6/2 0:27
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ソフトバンクグループが株式売却や社債発行で1兆円を大きく超える巨額資金をかき集めている。1日に中国のインターネット通販最大手アリババ集団の株式の一部を79億ドル(約8700億円)で売却すると発表。ゲーム会社の売却も検討中だ。新たな大型買収の準備との見方が強い。最大の焦点は米ヤフーが持つ日本ヤフー株の行方だ。

アリババ株の売却が伝わった1日の東京株式市場では、取引開始直後にソフトバンクグループ株が一時、前日比3%高の6443円まで上昇して年初来高値を付けた。「塩漬けだった投資資産を入れ替えて利益を生み出すスタンスに転換した」(SMBC日興証券の菊池悟氏)と好意的な受け止め方が多い。

持ち株比率は32.2%から約28%に下がるが、引き続き持ち分法適用関連会社にとどまる。孫正義社長は「今後もアリババとパートナー関係を継続する」と表明した。

ここ数年は米携帯子会社スプリントの再建に追われたこともあり、大型M&A(合併・買収)が途絶えていた。今年に入り資金集めに動き出した。73%を出資するフィンランドのスマホゲーム会社スーパーセルの売却も検討中で、数千億円規模を調達できそう。今年度中に個人向け社債を4000億~5000億円規模で発行する見通しだ。

巨額の資金が必要な理由について「有利子負債を減らして財務基盤を強化する」と説明する。確かに有利子負債は12兆円と大きいが、借金をテコに規模を広げる「レバレッジ経営」を基本としてきただけに負債削減のためだけとは考えにくい。国内証券大手は「新たな投資や出資に向けた軍資金を増やし始めたと考えるのが自然だ」とみる。

ではどこを狙うのか。投資銀行関係者は「得た資金で名実ともにヤフーのオーナーになろうとしている」と解説する。日本ヤフー株はソフトバンクグループが約43%、米ヤフーが約35%を保有。米ヤフーの持ち分の時価総額は約1兆円だ。

経営が悪化している米ヤフーは中核のネット事業や日本ヤフー株の売却を検討中で、4月の1次入札では米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズなどが応札したもよう。2次入札の締め切りは6月6日の見込みだ。必要な金額といい、資金調達の時期といい、日本ヤフー株買収の準備とみる向きは少なくない。

今後の成長戦略で日本ヤフーは欠かせない。ソフトバンクの格安スマホ「ワイモバイル」にヤフーのアプリを搭載するほか動画配信サービスを両社で共同開発している。

ソフトバンクグループの役員は日本ヤフー株買収は「考えていない」と否定している。だが、仮に日本ヤフー株の約35%が競合に渡って拒否権を持たれると、連携に支障がでかねない。日本ヤフー株を買収するとの観測の根拠はここにある。

2014年に孫社長に招かれ、グローバルのM&Aを統括する次期社長候補、ニケシュ・アローラ副社長も大きな成果を求められる時期に来ている。手に入れた資金を日本ヤフー以外の買収につぎ込み新しい成長戦略を描く可能性もある。1兆円強の使い方からアローラ氏が目指す次のソフトバンクグループの姿が浮かび上がる。(大和田尚孝、花井悠希、竹内弘文)

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