「グローバル社会で活躍できる人材とは?」
国分文也・丸紅社長 経営者編第7回(6月6日)
「What is Sogo Shosha?」海外でよく聞かれる質問ですが、総合商社というのはわかりにくい業態かもしれません。以前はモノの輸出入が中心でしたが、今は海外の各地域に根を張って事業を行い、そこから事業をグローバルに展開しています。新興国における中間層の拡大や日本の少子高齢化などで、総合商社の活動の軸は日本から海外へと移り、ますますボーダーレスに広がっています。
活動の軸、日本から海外へ一段と
丸紅では約450社のグループ企業が世界中で事業活動を行っており、より一体化したグループ経営が求められています。ますますグローバルに活躍できる人材が不可欠となっていますが、グローバルな人材にはどんな資質が求められているでしょうか。


日本人は議論が苦手だといわれますが、まずは感情論にならず、相手を論理的に説得できる能力が必要です。あうんの呼吸が通じる日本では理解しあえることでも、グローバル社会では自分をしっかり主張できなければ、人を動かすことはできません。また一般教養や歴史的な知識は、相手と関係を築いていく上で役に立つでしょう。
起業家精神も重要です。指示を待つのではなく、自らアイデアを出し、貪欲に追求し、実行に移すことができる人材がこれからはもっと必要だといえるでしょう。
私は入社当時、石油取引の仕事につきましたが、ずっと海外に行きたいと思っていました。30歳の時にニューヨークに赴任しましたが、10年間の駐在期間のうち、前半と後半とでは米国に対する見方もだいぶ変わりました。米国人は相手がライバルでなければ親切ですが、いったん競争関係になると、たとえ同僚であっても容赦はありません。戦っていかないと自分のフィールドが奪われそうで、毎日が真剣勝負でした。
簡単に海外に行けるようになった今、外国に対する若い世代の憧れは昔に比べ薄れているとも聞きます。しかし丸紅の若手社員には意欲的に海外での事業活動に挑戦し、様々なビジネスの現場で多くの経験を積んでほしいと思っています。
グローバル戦略は日本企業に共通した重要な課題だと思います。どうすれば日本でもっとグローバルな人材を育てていくことができるでしょうか。ぜひ皆さんのお考えをお聞きしたいと思います。
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編集委員から
総合商社、総合電機、総合百貨店。何でも取り扱う「総合」という2文字がつく業種は時代遅れといわれた時期もありましたが、日本生まれの総合商社の機能が再び注目されています。かつては3国間貿易など、日本を軸とした海外との輸出入業務を担っていましたが、最近では新しい事業を海外で興し、それを国際展開する例が増えています。
そうした変化を踏まえ、総合商社の人材にも新たな資質が問われています。商談が上手なだけでなく、最新の社会ニーズから新しいプロジェクトを発想し、海外の現地社会に溶け込んでそれを実現できる真の国際性が必要になっています。
日本の若者は内向きになったといわれますが、逆にいえば、日本にコンプレックスを感じない新しい世代でもあります。そうした若い人たちの目を再び海外に向かせることが日本の国際競争力や存在感を高めることになるでしょう。
(編集委員 関口和一)
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