独、官民で電気自動車巻き返し 購入補助金を折半出資

2016/5/31 1:04
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ドイツが官民を挙げ電気自動車(EV)など電動車両の普及にようやく本腰を入れ始めた。総額10億ユーロ(約1230億円)を、購入補助金や充電インフラ整備に充てる計画だ。自動車大国を自負しながら自国市場でEVが売れないジレンマを抱えていたドイツ。日本勢や新興勢力が着実に実績を積み上げる中、独自動車各社は長距離走行が可能な新型車の開発などで巻き返しを狙う。

「電動車両の進歩は自動車大国ドイツの将来にとって極めて重要。革新的な技術の普及を早める新しいインセンティブは正しい方策だ」。経済相を兼ねるガブリエル副首相は18日、閣議決定を受けて声明を出した。

購入補助金の原資は官民折半で拠出。始まった制度ではEV1台を購入すれば4千ユーロ、プラグインハイブリッド車(PHV)には3千ユーロを補助する。BMWの「i3」やフォルクスワーゲン(VW)の「eゴルフ」といったEVは3万4千~3万6千ユーロ程度で消費者の負担は今より1割強軽くなる計算だ。

インフラ整備も強化する。資金10億ユーロのうち2017~20年に3億ユーロを充電設備の投資に充てる。高速道路など5千カ所に急速充電スタンドを、別途1万カ所に通常の充電スタンドを置く。

自動車メーカー側も手を打つ。ダイムラーは車載用電池の合弁会社を完全子会社化し、増産する方針を決めた。ディーター・ツェッチェ社長は、電動車両の航続距離を左右する電池のエネルギー密度を高めるめどはついたとして「20年には航続距離500キロメートル前後の車を出せる」と胸を張る。

BMWは電動車両量産に向け6億ユーロを投資。今秋には航続距離を5割伸ばしたi3の200キロEVを発売する計画だ。

排ガス不正で電動車両シフトを明確にしたVWは、航続距離190キロのゴルフEVを、来年には300キロまで延ばした新型車を投入する方針。VWグループではアウディが18年から500キロEVを投入する。VWは電池や主要部品などを柔軟に組み合わせられるEV専用の共通プラットフォームも開発中だ。VWの電動車両担当幹部、トーマス・リーバー氏は「15年には1%の電動車両比率を25年には25%にする」と目標を掲げる。

電池では自動車部品最大手のボッシュも供給拡大を狙う。昨年には固体電池を開発する米新興企業シーオーを買収。フォルクマル・デナー社長は4月末の会見で「電池のエネルギー容量を2倍、価格を半減する目標に向け重要な役割を果たす」と述べた。

ドイツは環境対応車(エコカー)の普及を巡りディーゼル車が先行し、電動車両では後れを取る。長い距離を乗りこなすドイツ人はディーゼル車などに比べ航続距離が短い電動車両を敬遠気味だったこともあり、ドイツ勢が電動車両の販売に着手したのは13年ごろから。今年1~3月の国内の販売台数は1万3千台弱で、販売台数全体に占めるシェアは1.3%にとどまる。税免除やバス専用レーンの走行も許すなど世界でも飛び抜けた支援策をとるノルウェーの4割弱は別格だが、3%台の英仏と比べても見劣りは否めない。

日本は15年の国内販売台数(軽自動車を除く)に占める電動車両の割合が1割弱に上る。独政府は20年に100万台の目標を掲げるが、現状は15万台で、道のりは長そうだ。

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