2019年1月21日(月)

日米、為替政策なお火種 G7では対立「封印」

2016/5/22 1:24 (2016/5/22 3:30更新)
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主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で、日米両国は為替政策について互いへの強い批判は避けた。円高がひとまず一服し、不要な対立はかえって市場を混乱させると判断した面が強い。円高を警戒する日本、為替介入を容認しない米国という構図が変わったわけではない。

麻生氏(左)とルー氏は為替を巡りけん制を続けてきた

麻生氏(左)とルー氏は為替を巡りけん制を続けてきた

「ここ数週間をみれば、10日間で8円とか9円とか振れるのは秩序だった動きとはいえない」(麻生太郎財務相)

「相場は無秩序とはいえない状況だろう」(ルー財務長官)

相場が無秩序であれば、一定の為替介入は容認されるというのがG7の共通ルール。G7後の記者会見で円相場の動きについて、まったく逆の見解を示した両者の溝は一見深いようにみえる。

ただ麻生財務相は「ここ数週間をみれば」と付け加え、現時点ではなく過去に対する見方であることをにじませた。ルー氏は現在の状況について語っており、互いの発言は矛盾していないと説明できる余地を残した。

21日朝に開いた日米財務相会談で、ルー財務長官は通貨安競争の回避を日本に求めたが、麻生財務相は「ルー長官と特に激論があったわけではない」と涼しい顔。「向こうもこちらも選挙があるし、お互い色々なことを言うのが当然であって言うのは仕事」と特に問題はないとの認識を示した。

米国は4月末に日本など5カ国・地域を為替報告書の「監視リスト」に入れたが、日米財務相会談で米国側はまったく触れなかった。何らかの注文が付くのではと警戒していた日本側は「拍子抜け」(関係者)と胸をなで下ろした。

ルー氏は「通貨安競争を避けるだけでなく、サプライズのないようお互い政策意図を説明することが重要だ」とも述べ、日米当局間の関係修復を市場にアピールした。同氏の発言は意味合いこそ変わらないものの、攻撃的なトーンを若干弱めて開催国の日本への配慮をにじませている。

もっとも今は落ち着いている円相場が再び円高方向に動き出せば、両者の対立が再燃する可能性が高い。G7会議で参加者が最も警戒を示したのが、6月23日に予定される英国での欧州連合(EU)離脱を問う国民投票。仮に英国の離脱が決まれば、市場が混乱し円高が加速しかねない。

米国が日本の円売り介入をけん制してきた背景には、11月の大統領選挙がある。米景気はドル高をきっかけに1~3月期の経済成長率が0.5%に急減速。景気の低迷はオバマ政権や与党・民主党の逆風となり、過激論を掲げる共和党のドナルド・トランプ氏の大統領就任が現実味を増す。過度なドル高を抑えるため、米国が再び口先介入に踏み出す可能性がある。

ルー氏は日本の消費税増税について「G7は需要の底上げで合意している。日本は景気がずるずると落ち込むのを避けなければならない」と述べ、増税延期への支持をにじませた。日本は為替政策に頼るのでなく財政や構造改革で景気浮揚をはかるべきだ――。ルー氏の発言にはそんな意図が隠されているようにもみえる。

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