JR西日本次期社長、非鉄道事業「外部の力も借りて拡大へ」

2016/5/18 23:50
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西日本旅客鉄道(JR西日本)は18日、来島達夫副社長(61)が社長に昇格する人事を正式発表した。6月22日開催の株主総会後の取締役会を経て就任する。真鍋精志社長(62)は代表権のない会長になる。同日大阪市内で記者会見した来島氏は、非鉄道分野の成長に向けて「外の力も借りて様々なノウハウを取り入れる」と抱負を述べた。主なやりとりは以下の通り。

――非鉄道事業は何に注力していきますか。

来島氏「成長分野として流通や不動産のほか、インバウンド(訪日外国人)需要への対応がある。今後伸ばせる部分を見極めて、外部も含めた知見やノウハウを取り込む」

――インバウンド関連の具体的な目標は。

来島氏「2016年度の目標は訪日客の鉄道利用で25万人、関連商品の売上高は25億円増やす」

――来島氏に期待することは。

真鍋氏「課題認識は共通している。05年の福知山線脱線事故への対応など課題は山積み。これまで以上にスピードアップするうえで、リーダーシップを発揮すると期待している」

――来島副社長は自身のキャリアで何が生かせると考えていますか。

来島氏「福知山線事故当時、広報室長を務めていた。安全への取り組みやその後の事業展開を世間に対して十分に発信できなかった反省がある。被害者の気持ち、怒りは変わらない。どう向き合うか考えていく」

――真鍋社長ができなかった反省点は。

真鍋氏「福知山線事故の被害への対応や安全の問題だ。この11年間、事故で失った信頼を確実に取り戻したかった」

――中期経営計画で掲げる神戸などの再開発はどこまで進めますか。

来島氏「三ノ宮駅の開発については、自治体と歩調を合わせて2年弱で結果を出したい」

           ◇

JR西日本が18日発表した人事で注目されるのは長谷川一明取締役(59)の副社長昇格と、堀坂明弘取締役(60)が子会社の日本旅行の社長に就任することだ。

長谷川氏は真鍋社長や来島副社長が歴任した事務畑を歩んだ。来島氏の次の社長候補と目されている。現在は近畿統括本部長として駅の改装や新車両の投入など、都心回帰が進む京阪神の乗客獲得策を進めた。今後は創造本部長を兼任し非鉄道部門の強化を担う。

日本旅行の社長はこれまでJR西日本の副社長が就くポストだったが、取締役の堀坂氏が就任する。堀坂氏は営業本部長として北陸新幹線を成功に導いた一人。堀坂氏の就任で最大手のJTBを追い上げる。

           ◇

JR西日本は2016年3月期まで4期連続で連結純利益が最高益を更新し、再成長のステージに入った。だが鉄道など運輸業が営業利益の7割弱を占めるなど運輸部門への依存度が高い。来島副社長は「不動産、流通、インバウンド(訪日外国人)関連事業の成長に拍車をかけられるかが次の展開だ」と述べ、非鉄道部門を強化する。

不動産と飲食を含む流通事業は、大阪駅前の大型商業施設「ルクアイーレ」の改装開業や、セブン―イレブン・ジャパンとの提携による駅売店のてこ入れで収益は上向いたが道半ばだ。鉄道以外の事業では経営ノウハウが乏しいのが実情で、外部の力を活用しようと昨年8月に京都の老舗チェーン「からふね屋珈琲」を買収したのもその一環だ。

ホテル事業は「グランヴィア」と「ヴィアイン」を運営するが、インバウンド消費を取り込むため増設する。経営環境の厳しい日本旅行との連携強化も今後の課題となってくる。

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