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東大・兵庫県立大・理研など、ヘム濃度センサータンパク質の立体構造を決定し作動機序を原子レベルで解明

発表日:2021年04月13日

ヘム濃度センサータンパク質の作動機序を原子レベルで解明

~病原菌が毒を回避する生存戦略~

兵庫県立大学大学院理学研究科の澤井仁美助教を中心とした共同研究グループは、大型放射光施設「SPring-8」[1]を利用して、病原菌がヒトなどの動物の血液から栄養として獲得した「ヘム」[2]の濃度を制御するために用いる「ヘム濃度センサータンパク質」の立体構造を決定し、世界で初めてその作動機序を原子レベルで解明しました。この結果により、病原菌が感染先(宿主)の体内で生き残っていくために利用するシステムへの理解が進み、このシステムをターゲットにした新たな抗菌剤開発に貢献できる可能性があります。本研究の成果は、2021年4月13日の日本時間18時付で、Nature Publishing Groupが発行する国際生物科学雑誌『Communications Biology』に掲載されます。

1.研究の背景

鉄は、全ての生物にとって必須の金属元素であり、生物体内で種々の重要な反応に関わっています。例えば、ヒトでは呼吸で肺に取り込まれた酸素を末梢組織に運ぶ赤血球の中のヘモグロビン[3]に、鉄がヘムの形で多量に含まれています。病原菌が生きて増殖するためにも鉄が必須です。ペスト菌・コレラ菌・ジフテリア菌・炭疽菌などの病原菌は、他の生物からヘムを奪ってその中の鉄を利用するシステムを進化させています。そのような病原菌の一種である溶血性連鎖球菌[4]は、ヒトなどの動物の血液に入り込み、赤血球を破壊してヘモグロビンを放出させ、ヘモグロビンに含まれるヘムを菌体内に取り込んで栄養として利用するシステムを有しています(図1)。

※図1は添付の関連資料を参照

1個の赤血球を壊すと10億分子以上の大量のヘムが放出されるので、この病原菌はそのヘムを栄養として利用して生きています。しかし、菌体内で余剰になったヘムは、活性酸素[5]を発生させるため、病原菌にとっては「毒」となります。この余剰なヘムによる毒性を回避するために、病原菌は菌体内のヘムの濃度を感知して菌体外へ排出するシステムを有していることが、近年報告されています。この「ヘム毒性回避システム」は病原菌が宿主内で生存するために必須のシステムと考えられていますが、病原菌が余剰なヘムによる毒性をどのようにして回避しているのかは未解明でした。

※以下は添付リリースを参照

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

図1

https://release.nikkei.co.jp/attach/608500/01_202104131457.jpg

添付リリース

https://release.nikkei.co.jp/attach/608500/02_202104131457.pdf

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