東北大・阪大・兵庫県立大・熊本大、誕生途上のタンパク質が立体構造を形成する新たな仕組みを解明
発表日:2021年04月02日
誕生途上のタンパク質が立体構造を形成する新たな仕組みを解明
~翻訳合成途上タンパク質に働きかける酵素を一分子レベルで可視化することに成功~
【発表のポイント】
●翻訳合成途上のタンパク質(新生鎖)へのジスルフィド結合(注1)導入を検出するシステムを独自に開発した。
●高速原子間力顕微鏡(注2)を用いた観察により、PDIファミリー酵素(注3)が新生ポリペプチド鎖(新生鎖)(注4)を認識・結合する様子を一分子レベルで可視化することに成功した。
●代表的な二つのPDIファミリー酵素であるPDIとERp46間で、新生鎖に作用する機構、タイミング、効率が異なることを発見し、両酵素の機能の違いが明らかとなった。
【概要】
タンパク質の合成や折りたたみがうまくできなくなると、神経変性疾患や糖尿病などの原因となることが知られていますが、合成途上のタンパク質が「正しい」立体構造を形成するしくみについての理解は進んでいませんでした。東北大学多元物質科学研究所の平山千尋博士課程学生、稲葉謙次教授(生命科学研究科、理学研究科化学専攻 兼担)、東北大学学際科学フロンティア研究所の奥村正樹助教、兵庫県立大学大学院工学研究科の今高寛晃教授、町田幸大准教授、大阪大学ナノサイエンスデザイン教育研究センターの野井健太郎特任助教(常勤)、および熊本大学大学院生命科学研究部の小椋光特任教授(研究当時:熊本大学発生医学研究所教授)らを中心とした共同研究グループは、リボソーム(注5)による新生ポリペプチド鎖(新生鎖)の翻訳合成中にPDI(Protein Disulfide Isomerase)ファミリー酵素であるPDIとERp46が作用する様子を、独自に開発した検出システムおよび高速原子間力顕微鏡を用いて、世界で初めて観察することに成功しました。これにより、細胞内タンパク質恒常性維持に関する重要な知見が得られました。
本成果は、2021年3月9日、米国科学誌iScienceにオンライン掲載されました。
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/607874/01_202104021442.pdf