東北大・熊本大・東大、シグナル情報伝達を担うRNA由来の液性因子を発見
発表日:2021年01月20日

シグナル情報伝達を担うRNA由来の液性因子を発見
-炎症疾患の新たな核酸医薬開発に期待-
【発表のポイント】
●生体内に存在する「N6-メチルアデノシン(m6A)(注1)」がアレルギーなどの炎症を引き起こすことを発見しました。
●m6Aをはじめとする修飾ヌクレオシド(注2)は、修飾されたRNAの代謝産物として生体に存在することが知られていましたが、生理的意義は不明でした。
●RNA修飾を網羅的に検出するRNAモドミクス解析(注3)を用い、修飾ヌクレオシドが受容体シグナル応答を強く引き起こし生理作用を持つことを初めて明らかにしました。
【概要】
RNAがメチル化などの修飾を受けることが近年明らかになり、RNA修飾研究が世界的に盛んな研究分野となっています。東北大学加齢医学研究所の小川亜希子助教と魏范研教授(前熊本大学大学院生命科学研究部)は、RNA修飾を網羅的に検出する「モドミクス技術」を用いて解析し、東北大学大学院薬学研究科の井上飛鳥准教授、熊本大学大学院生命科学研究部の富澤一仁教授、井上俊洋教授、熊本大学病院の谷原秀信病院長、東京大学大学院工学系研究科の鈴木勉教授、東京大学大学院理学系研究科の志甫谷渉助教、濡木理教授らと共同研究を行い、RNA修飾の代謝後に生じる「N6-メチルアデノシン(m6A)」が強力な受容体シグナル応答を引き起こし、アレルギーなどの炎症を惹起することを発見しました(図1)。
これまでRNA修飾の細胞内の機能については数多くの報告がありますが、代謝後に細胞外へ分泌される因子の生理作用については知られていませんでした。生体内の生理活性を持つ液性因子として、RNA由来の修飾ヌクレオシドが重要な役割を担うことを新たに提唱しました。今後、血液中・尿中あるいは眼内の修飾ヌクレオシドを調べることで、様々な疾患に対する診断や治療の発展が期待されます。
本研究結果は1月20日付(米国時間1月19日)の米科学誌「Molecular Cell」に掲載予定です。
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図
https://release.nikkei.co.jp/attach/603384/01_202101191457.png
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/603384/02_202101191457.pdf