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東大、記憶の書き換えに重要なキネシン分子モーターKIF17による新しい樹状突起内輸送制御機構を解明

発表日:2020年12月17日

記憶の書き換えに重要なキネシン分子モーターKIF17による新しい樹状突起内輸送制御機構

1.発表者:

岩田 卓(東京大学大学院医学系研究科 分子細胞生物学専攻 特任研究員)

森川 桃(研究当時:東京大学大学院医学系研究科 分子細胞生物学専攻 特任研究員

 現:理化学研究所 脳神経科学研究センター 分子精神遺伝研究チーム 訪問研究員/日本学術振興会 特別研究員 SPD)

武井 陽介(研究当時:東京大学大学院医学系研究科 細胞生物・解剖学教室 准教授

 現:筑波大学 医学医療系 解剖学・神経科学 教授)

廣川 信隆(東京大学大学院医学系研究科 分子細胞生物学専攻 分子構造・動態・病態学分野特任教授)

2.発表のポイント:

◆キネシン分子モーターKIF17[注1]による樹状突起内分子機構を解明し、樹状突起可塑性による新しい記憶の書き換えメカニズムを提唱した。

◆神経活動依存的なKIF17の局所タンパク質分解[注2]・合成[注3]を介した受容体輸送制御により、神経活動が樹状突起内の受容体分布を調節するという新たな分子機構を解明した。

◆本研究は記憶の書き換え障害が関与するPTSD等の精神疾患治療に新たな戦略をもたらすものと考えられる。

3.発表概要:

神経細胞内における記憶の書き換えメカニズムの解明は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)[注4]を代表とする記憶障害を伴った精神疾患の治療開発において重要な役割を担っているが、実際に神経細胞がどのように記憶の書き換えや恐怖記憶の消去[注5]を行っているかについては現在十分には理解されていない。今回、東京大学大学院医学系研究科分子細胞生物学専攻の廣川信隆特任教授、岩田卓特任研究員、森川桃特任研究員(研究当時、現・理化学研究所)、武井陽介准教授(研究当時、現・筑波大教授)らの研究チームは、キネシン分子モーターKIF17による受容体輸送が神経活動を契機としてKIF17の分解により一時的に廃止され、その後すぐに樹状突起内において再開されるということを発見した。この分子機構は必要物資を細胞体から遠位の神経突起内へと輸送するという従来の分子モーターの役割とは異なり、神経活動を契機として突起内の受容体の位置を分子モーターが制御すると考えられ、樹状突起内に輸送の起点と終点が存在する新しいメカニズムである。本研究チームがこのKIF17による分子機構が正常に働かないマウスを開発したところ、恐怖記憶がほとんど消去できないPTSD様の症状を示した。分子モーターによる受容体位置制御を基盤とした1つの樹状突起での記憶の書き換えメカニズムが本研究により解明されたことは、記憶の書き換え障害が関与するPTSD等の精神疾患治療に新たな戦略をもたらすものである。

※以下は添付リリースを参照

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

添付リリース

https://release.nikkei.co.jp/attach/601912/01_202012161415.pdf

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