理研・横浜市大・AMED、タンパク質を増やすSINEUPのメカニズムを解明
発表日:2020年11月2日

タンパク質を増やすSINEUPのメカニズムを解明
-核酸医薬品への応用にさらなる期待-
理化学研究所(理研)生命医科学研究センタートランスクリプトーム研究チームの土岐直子研究パートタイマー(横浜市立大学大学院生命医科学研究科博士後期課程)、高橋葉月特別任期制研究員(同客員研究員)、ピエロ・カルニンチチームリーダー(同客員教授)らの国際共同研究グループ(※)は、タンパク質合成を促進するアンチセンスRNAとして発見された機能性ノンコーディングRNA[1]「SINEUP[2]」が、標的メッセンジャーRNA(mRNA)[3]の翻訳を促進する際、SINEUP結合タンパク質とともに細胞内を移動し、翻訳開始複合体に働きかけていることを発見しました。
本研究成果は、ハプロ不全[4]が原因とされる疾患の遺伝子治療に応用が期待されているSINEUPの細胞内挙動の確認、さらには抗体医薬[5]の生産性の向上に役立ち、医薬品開発に貢献すると期待できます。
今回、国際共同研究グループは、標的mRNAとSINEUPの細胞内局在、およびそれらと結合するタンパク質との相互関係を調べました。細胞核内、細胞質内での詳細な調査の結果、標的mRNAとSINEUPが細胞質で共局在することが必須であることが分かりました。さらに、SINEUPにRNA結合タンパク質であるPTBP1タンパク質とHNRNPKタンパク質が結合して3者複合体を形成することで、SINEUPの細胞核から細胞質への移動が可能となり、それらの結合体が標的mRNAの翻訳開始を促進していることを明らかにしました。
本研究は、科学雑誌『Nucleic Acids Research』オンライン版(11月2日付)に掲載されます。
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https://release.nikkei.co.jp/attach_file/0542445_01.JPG
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