東大と茨城大、レーザー中の散逸量子系を記述する一般公式を発見 - 日本経済新聞
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東大と茨城大、レーザー中の散逸量子系を記述する一般公式を発見

発表日:2020年7月4日

レーザー中の散逸量子系を記述する一般公式を発見

~周期駆動系の非平衡統計力学の進展~

1.発表者:

池田 達彦(東京大学物性研究所 物性理論研究部門 助教)

佐藤 正寛(茨城大学大学院 理工学研究科 准教授)

2.発表のポイント:

◆散逸のある量子系がレーザーなどにより周期的に駆動されたときに現れる非平衡定常状態を記述する一般公式を発見しました。

◆非平衡定常状態の解析は本来複雑な計算を必要としますが、本研究で得られた一般公式を用いると、簡単な計算によって状態の概要を把握できます。

◆この一般公式は、様々な物理系におけるフロケ・エンジニアリングの指針を与えるものです。また、非平衡統計力学を発展させる上でも重要な結果と言えます。

3.発表概要:

東京大学物性研究所(所長:森初果)の池田達彦助教と茨城大学大学院の佐藤正寛准教授の研究グループは、レーザーなど周期性をもった外場を照射された散逸量子系(注1)の非平衡定常状態(注2、図1)を記述する一般公式を発見しました。レーザー技術は近年猛烈に進展しており、それらを利用した基礎・応用研究は枚挙に暇がありません。中でも、レーザーの周期電磁場の効果により物質の性質(電気伝導性・磁性・トポロジカル物性・時間結晶など)を高速で変化させることを目指す研究はこの10年間で飛躍的に深化しました。このように周期性をもった外場によって新たな性質や機能を発現させることをフロケ・エンジニアリング(注3、図2)と呼び、最新の高強度レーザーによって実現が可能になってきました。しかし、レーザー中の物質系を含む非平衡系を正確に記述する物理理論を構築するのは一般に困難であり、これまでのフロケ・エンジニアリングについて十分に理論整備されているのは、散逸のない理想的な場合に限られていました。しかし、身の回りのほぼ全ての物質は周りの環境とエネルギーをやり取りし、散逸が常に起きています。そこで、研究グループは、広い散逸のある量子系を表すリンドブラッド方程式(注4)を起点として、高周波展開(注5)と呼ばれる理論手法を応用し、レーザーで駆動された非平衡定常状態を記述する一般公式を導き出しました。

これにより、散逸の効果を取り込んだ定量的なフロケ・エンジニアリングの予言が可能になります。また、本公式は周期駆動された非平衡系の統計力学の足掛かりを与え、非平衡系の基礎科学にも寄与するものです。

本研究成果は国際科学雑誌 Science Advancesの2020年7月3日付けオンライン版に公開される予定です。

※以下は添付リリースを参照

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

添付リリース

https://release.nikkei.co.jp/attach_file/0537103_01.pdf

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