富士経済、リチウムイオン二次電池材料の世界市場調査結果を発表
発表日:2020年3月26日

リチウムイオン二次電池材料の世界市場を調査
―2023年市場予測―
■リチウムイオン二次電池材料 5兆7,781億円
2019年はコバルト価格の下落により微増にとどまるものの2018年からの年平均成長率は17.3%と大幅な拡大続く
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫)は、リチウムイオン二次電池の需要増加に伴い、拡大が続くリチウムイオン二次電池材料の世界市場を調査した。
その結果を「2019 電池関連市場実態総調査 <電池材料市場編>」( https://www.fuji-keizai.co.jp/report/detail.html?code=141905818)にまとめた。
この調査では、リチウムイオン二次電池材料12品目、アルカリ二次電池材料4品目、一次電池材料4品目、金属資源・出発原料3品目、計23品目の市場を調査・分析した。なお、リチウムイオン二次電池をはじめとする電池セル市場については「同 <電池セル市場編>」( https://www.fuji-keizai.co.jp/report/detail.html?code=141905817)でまとめており、結果は1月31日に発表している。
<注目市場>
■リチウムイオン二次電池(LIB)材料の世界市場
※表資料は添付の関連資料を参照
LIB材料市場は2018年で2017年比38.3%増の2兆5,995億円となった。LIBの需要増加に加え、正極活物質の原料の一つであるコバルト価格が上昇したことも市場を押し上げる要因となった。
2019年はLIBの需要が増加したものの、コバルト価格が2017年を下回る価格まで落ち、正極活物質の実績が二桁近く縮小したことで、市場は2018年比2.0%増にとどまると見込まれる。しかし、数量ベースではすべての品目で伸びており、今後はLIBの需要増加やxEV向けLIBの性能向上を目的とした高容量で高価格な材料の採用が増加することで、2023年には2018年比2.2倍の5兆7,781億円が予測される。
エリア別のメーカーの動向をみると、日本・韓国材料メーカーは、高付加価値材料に活路を見出している。日本材料メーカーは日本LIBメーカーと北米EVメーカー向け電池での採用が多い。韓国材料メーカーは韓国LIBメーカーが欧州自動車メーカーへ採用の働きかけを強化していることから、需要増加が今後期待される。
一方、中国材料メーカーは中国LIBメーカー向けが中心であり、中国でのEV普及施策による需要増もあり市場での存在感を増してきた。大幅な設備増強を進めたこともあり供給過剰に陥っており、上位メーカーなどは技術力の向上とともに日本など海外LIBメーカーで採用されるケースも増えているが、中小メーカーは苦戦している。また、2019年には補助金の大幅減額による中国自動車メーカーの資金繰り悪化の影響を受けた電池メーカーもみられ、それによる材料メーカーへの売掛金の未払いなどもあり、厳しい環境下の材料メーカーも多い。
【正極活物質】
LIB材料の中で、最も規模が大きいのは正極活物質である。小型民生用LIBで採用されるコバルト酸リチウム(LCO)はコバルト価格の下落により2019年は2018年比49.7%減、正極活物質の市場は同9.4%減が見込まれる。
今後、xEV向けで大幅な伸びが予想されるのが三元系とハイニッケルであり、三元系は2022年に、ハイニッケルは2023年にそれぞれ1兆円を突破するとみられ、正極活物質の市場は2023年に3兆1,095億円が予測される。
中国では、LIBのエネルギー密度の向上が挙げられた2018年のxEV補助金給付要件を満たせることから、ハイニッケルの需要が急増している。しかし、2019年に再び補助金給付の要件が変更され、高容量な電池を搭載する気運が薄れたこと、また、2020年末には補助金の廃止が予定されていることから、xEVのコストダウンは必須になり、高コストなハイニッケルから再び低コストなリン酸鉄リチウム(LFP)の採用が増えるとみられる。
このほかマンガン酸リチウム(LMO)は二輪車や三輪トラック、E-Bikeの鉛蓄電池からLIBへの置き換え需要の増加が期待される。
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
表資料
https://release.nikkei.co.jp/attach_file/0531781_01.JPG
添付リリース
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