東大と高輝度光科学研究センター、高精度回転楕円ミラーにより200nmサイズの軟X線ナノビームを形成
発表日:2020年3月26日
高精度回転楕円ミラーにより200nmサイズの軟X線ナノビームを形成
―タイコグラフィ法による軟X線ナノビーム診断法を確立―
1.発表者:
三村 秀和(東京大学大学院工学系研究科 准教授)
竹尾 陽子(東京大学大学院工学系研究科 博士課程3年生/
高輝度光科学研究センター 研究生)
仙波 泰徳(高輝度光科学研究センター 主幹研究員)
大橋 治彦(高輝度光科学研究センター 主席研究員)
2.発表のポイント:
◆高精度回転楕円ミラーにより200nmの軟X線のナノビームの形成に成功しました。
◆タイコグラフィ法による軟X線集光光学系評価法を確立しました。
◆ミラーにより実現された軟X線ナノビームを用いた軟X線分析法の開発が期待されます。
3.発表概要:
東京大学の三村秀和准教授と竹尾陽子氏、高輝度光科学研究センター(JASRI)の仙波泰徳主幹研究員、大橋治彦主席研究員らのグループは、高精度な回転楕円ミラーを用いた軟X線ナノビーム形成に成功しました。
X線を分析に用いると、形や構造だけでなく、材料の組成や化学状態の分析が可能となります。X線の中でも軟X線領域は、波長が約1nm~10nmであり、磁気材料、触媒材料、電池材料などの分析に用いられています。こうした軟X線を利用した分析技術の空間分解能や測定感度などの性能は、利用する軟X線ビームの「小ささ」と「強さ」によって決まります。
この研究では、高い集光効率を持つ高精度回転楕円ミラー(注1)により、SPring-8(注2)の軟X線を200nmサイズに集光することに成功し、さらに、タイコグラフィ法(注3)を用いて軟X線ナノビームの正確な診断法を確立しました。
本成果により、高精度ミラーを用いた軟X線ナノビームの利用による、さまざまな軟X線分析法の性能向上が期待されます。
本成果は、2020年3月26日に米国科学技術雑誌のApplied Physics Lettersにオンライン版で掲載されます。
※以下は添付リリースを参照
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