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東大、高い移動度をもつ二次元正孔伝導を酸化物で初めて実現

2020/2/28 15:00
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発表日:2020年2月28日

高い移動度をもつ二次元正孔伝導を酸化物で初めて実現

~高機能酸化物エレクトロニクスの実現へ新たな道を開拓~

1.発表者

レ デゥック アイン(Le Duc Anh)(東京大学 大学院工学系研究科総合研究機構 助教)

金田 真悟(東京大学 大学院工学系研究科 電気系工学専攻 修士課程1年生)

徳永 将史(東京大学 物性研究所 准教授)

関 宗俊(東京大学 大学院工学系研究科 スピントロニクス学術連携研究教育センター/電気系工学専攻 准教授)

田畑 仁(東京大学 大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻/電気系工学専攻、スピントロニクス学術連携研究教育センター 教授)

田中 雅明(東京大学 大学院工学系研究科 スピントロニクス学術連携研究教育センター/電気系工学専攻 教授)

大矢 忍(東京大学 大学院工学系研究科 総合研究機構、電気系工学専攻/スピントロニクス学術連携研究教育センター 准教授)

2.発表のポイント

◆酸化物半導体の表面に数原子層の鉄の薄膜を室温で蒸着し、それを大気にさらして酸化することにより形成した酸化鉄と酸化物半導体の界面に、高い移動度をもつ二次元正孔伝導(p型伝導)層が形成されることを発見しました。

◆今まで酸化物中の正孔に対して報告されてきた値の中で最も高い移動度(10Kにおいて約24,000cm2/Vs)が得られました。鉄の膜厚をわずかに増やすだけで、伝導型がp型からn型に変わり、伝導型を制御できることも明らかにしました。

◆この発見により、酸化物中の正孔伝導に関連した物理現象の理解が飛躍的に進むものと期待されます。また、酸化物界面を利用したpn接合ダイオードやトランジスタなどの新しいデバイスや、それらの集積回路を、非常に簡単かつ安価に作製できるようになると期待されます。

3.発表概要

東京大学大学院工学系研究科のレ デゥック アイン(Le Duc Anh)助教、金田真悟大学院生、田中雅明教授、大矢忍准教授のグループと、関宗俊准教授、田畑仁教授のグループ、および東京大学物性研究所の徳永将史准教授は、酸化物半導体の表面上に高い移動度を持つ二次元正孔伝導(注1、2)を実現することに初めて成功しました。研究グループは汎用性が高いチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)基板の表面上に、超高真空下で0.25nm以下の極めて薄い鉄の薄膜を室温で蒸着し、それを大気にさらして酸化鉄(III)(注3)を形成しました。SrTiO3と酸化鉄(III)はともに絶縁体ですが、これらの界面で、非常に高い移動度(10Kにおいて約24,000cm2/Vs)(注4)をもつ二次元正孔伝導(p型伝導)が起こることを明らかにしました。SrTiO3と他の酸化物の界面では、高移動度の二次元電子伝導(n型伝導)が起こることが良く知られていますが、このような高い移動度をもった正孔伝導が観測されたのは今回が初めてです。また鉄の膜厚が0.25nmよりわずかに厚いと、伝導の二次元性が保たれたままp型伝導がn型伝導に変わること、つまり伝導型を膜厚で制御できることも明らかにしました。本研究により、酸化物を用いて高い移動度をもつp型半導体とn型半導体からなるダイオードやトランジスタなどの高性能な電子デバイスを実現でき、それらにより構成される集積回路を、酸化物基板上に非常に安価に実現できるようになることが期待されます。

※以下は添付リリースを参照

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

添付リリース

https://release.nikkei.co.jp/attach_file/0529928_01.pdf

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