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東大、地上のチェレンコフ望遠鏡がガンマ線バーストの信号を初観測

2019/11/21 3:00
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発表日:2019年11月21日

地上のチェレンコフ望遠鏡がガンマ線バーストの信号を初観測

~誕生直後のブラックホールから過去最高エネルギーのTeVガンマ線放射を確認~

■発表者:

梶田 隆章(東京大学宇宙線研究所 所長)

手嶋 政廣(東京大学宇宙線研究所 高エネルギー宇宙線研究部門 教授)

野田 浩司(東京大学宇宙線研究所 高エネルギー宇宙線研究部門 准教授)

浅野 勝晃(東京大学宇宙線研究所 高エネルギー宇宙線研究部門 准教授)

窪 秀利(京都大学理学研究科 准教授、東京大学宇宙線研究所 客員准教授)

井上 進(理化学研究所 数理創造プログラム 研究員、東京大学宇宙線研究所共同研究員)

Federico Ferrini(Cherenkov Telescope Array 天文台 台長 教授)

■発表のポイント:

◆スペイン・カナリア諸島ラパルマ島のMAGICが、地上のチェレンコフ望遠鏡としては初めて、ガンマ線バーストからの信号を観測することに成功しました。

◆そのエネルギーは、ガンマ線バーストでは過去最高の1TeVまで達しており、ガンマ線の発生機構にシンクロトロン放射以外のメカニズムがあることを初めて明確にしました。

◆光学望遠鏡による観測により、45億年前の恒星(太陽質量の数十倍以上の大質量星)が重力崩壊し、ブラックホールが生成される際に放出されたものと推定しました。

■発表概要:

東京大学、京都大学、東海大学、ドイツ・マックスプランク物理学研究所(MPP)などの国際共同研究チームは2019年1月14日、NASAのX線観測衛星Swiftやガンマ線観測衛星Fermiからの緊急連絡(アラート)を受け、カナリア諸島ラパルマ島のチェレンコフ望遠鏡 MAGIC(注1)で観測を開始しました。その結果、300GeV(ギガ電子ボルト、(注2))以上の高エネルギーを持つガンマ線の光子を10秒間に200-300個という高頻度で観測し、その最高エネルギーは1TeVまで伸びていました。

他の光学望遠鏡の観測結果から、この高エネルギーガンマ線は、45億光年(赤方偏移0.42)離れた天体から放出されたもので、太陽質量の100倍程度の大質量星が燃え尽きて重力崩壊し、ブラックホールになる際、対極2方向に出たプラズマのジェットから生成されたガンマ線バースト(注3)であると見られています。

ブラックホールの生成に伴うガンマ線バーストは、アインシュタインの一般相対性理論により大量のエネルギー放射、さらにはジェットの形成に伴い高エネルギーガンマ線の放出が予測されていますが、これまでは95GeV(注4)が最高でした。最高エネルギーがおよそ10倍にあたる1TeVまで伸びているという事実は、シンクロトロン放射(注5)を越えるガンマ線の発生メカニズムの存在を明確に示しています。

MAGICのような宇宙からのガンマ線を地表で捉えるチェレンコフ望遠鏡は、より広い視野で高エネルギーのガンマ線天体を探索し、宇宙の高エネルギー現象を解き明かすため、2003年10月に建設されましたが、ガンマ線バーストからの信号を捉えることに成功したのは今回が初めてです。ガンマ線天文学の分野では、宇宙のより激しい現象を明らかにしようと、北半球と南半球に100基以上のアレイを展開するCTA計画(注6)が進んでいますが、その意義を改めて裏付ける成果と言えます。

本成果を記した論文は、グリニッジ標準時(GMT)の11月20日18時(日本時間の21日午前3時)に英科学誌Nature電子版に掲載されます。

※以下は添付リリースを参照

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

添付リリース

https://release.nikkei.co.jp/attach_file/0522997_01.pdf

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