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東大、磁化方向制御に必要な電力を極限まで低減できる新たな方法を実証

発表日:2019年10月3日

磁化方向制御に必要な電力を極限まで低減可能な新たな方法を実証

1.発表者:

・レ デゥック アイン(Le Duc Anh)(東京大学大学院工学系研究科総合研究機構 助教)

・山下 貴史(東京大学工学部電気電子工学科 学部4年生:研究当時)

・山崎 浩樹(東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻 修士課程2年:研究当時)

・荒木 大晴(東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻 修士課程2年:研究当時)

・関 宗俊(東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻 准教授)

・田畑 仁(東京大学大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻 教授)

・田中 雅明(東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻 教授)

・大矢 忍(東京大学大学院工学系研究科総合研究機構 准教授)

2.発表のポイント:

◆強磁性酸化物(磁石)を用いて、磁石に15~200mV程度の極めて小さな電圧を印加するだけでN極とS極(磁化)の向きが90°回転する現象を発見しました。この現象は、電圧の印加により電子の軌道の対称性が変化することによって起こっているものと考えられます。

◆磁化回転に必要な電流密度は10-2A/cm2程度で、この値は最先端の磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)で用いられている典型的な電流密度(約107A/cm2)より9桁程度小さな値です。

◆本結果は、強磁性材料の電子構造を適切に設計することにより、磁化制御に必要な電力を極限まで低減できる新たな可能性を示しています。

3.発表概要:

東京大学大学院工学系研究科のレデゥックアイン助教、田中雅明教授、大矢忍准教授のグループと関宗俊准教授、田畑仁教授のグループは、磁石のN極とS極の向き(磁化の向き)を非常に小さい電力で回転できる革新的な方法を実証しました。研究グループは、絶縁体SrTiO3の4nmの極薄膜を、磁石の性質をもつ強磁性酸化物LaSrMnO3で挟み込んだ磁気トンネル接合(注1)素子を作製しました。この接合に15~200mVの小さな電圧を印加したところ、片方の強磁性酸化物層の磁化が90°回転することが分かりました。この際に流れる電流密度は極めて小さく、10-2Acm-2程度でした。

現在、強磁性体の電子のスピン自由度(注2)を用いて新たな省エネルギーデバイスを実現しようとする研究が精力的に行われています。通常、磁化回転には、向きの揃ったスピンをもつ電子を磁気トンネル接合に流して、電子のスピンの向きを強磁性体の磁化に受け渡す方法などが用いられています。しかし、従来の方法では、一般的には107Acm-2程度の大きな電流密度が必要でした。

本実験に用いたLaSrMnO3という物質は、SrTiO3層との接合界面では、わずかな電圧を印加するだけで、伝導に寄与する電子の軌道の対称性が変わると考えられています。本研究では、この変化に伴って磁化の向きやすい方向が変化し、磁化が回転しているものと考えられます。本成果は、磁化反転に必要なエネルギーを極限まで抑えることが可能な新たな手法の実現につながるものと期待されます

※以下は添付リリースを参照

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

添付リリース

https://release.nikkei.co.jp/attach_file/0520452_01.pdf

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