IDC Japan、2023年までの世界AR/VR関連市場予測を発表
発表日:2019年6月26日
2023年までの世界AR/VR関連市場予測を発表
Japan, 2019年6月26日 - IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社(所在地:東京都千代田区九段北1-13-5、代表取締役社長:竹内正人)は、世界のAR(Augmented Reality, 拡張現実)/VR(Virtual Reality, 仮想現実)のハードウェア、ソフトウェアおよび関連サービスの2023年までの市場予測を発表しました。
最新のWorldwide Semiannual Augmented and Virtual Reality Spending Guide 2018H2( https://www.idc.com/tracker/showproductinfo.jsp?prod_id=1381)によると、世界のAR/VRのハードウェア、ソフトウェア及び関連サービスを合計した支出額は、2018年は89.0億ドル、2019年の168.5億ドルから2023年には1,606.5億ドルに達する見通しで、2018年から2023年にかけての年間平均成長率(CAGR: Compound Annual Growth Rate)は78.3%と高い成長が見込まれます。
IDCは、AR/VR関連支出の成長の大部分はビジネス分野および公共部門からの投資の加速によってもたらされると予測しています。2018年から2023年にかけて、最も高い伸びが期待できるのは金融(CAGR 133.9%)およびインフラ(CAGR 122.8%)であり、製造業と公共部門がほぼ同レベルのCAGRでこれに続きます。なお、消費者部門でのCAGRは52.2%に留まるものとみられます。
「トレーニング、コラボレーション、デザイン、セールス、その他多数のユースケースを推進する方法として、VRに着目する企業の数は勢いを増している」と、米国IDC Devices and Consumer Researchのグループバイスプレジデントであるトム・マイネリは述べています。続けて、「ARのユースケースもまた、次世代のハードウェア、ソフトウェア、およびサービスの登場で増加しており、これらはいずれも既存のビジネスプロセスを抜本的に変えるものである。というのも、ARはハンズフリー技術を必要とする第一線の労働者に新しい能力をもたらすからであり、多種多様な会社がこれに注目している」と述べています。
2023年にビジネス分野で最大の支出ユースケースと予測されているのは、トレーニング(84.7億ドル)、産業メンテナンス(43.1億ドル)、および小売/展示(38.7億ドル)です。他方、消費者向け分野では、3つの消費者向けユースケース(VRゲーム、VRビデオ/機能表示、ARゲーム)が、2023年には合計208億ドルの支出が見込まれています。その他のユースケースとしては、実験室および実習用のAR、公共インフラ整備用のAR、および診断用途のARが含まれます
ハードウェアは、予測期間の全体を通してAR/VRの支出全体の半分以上を占め、ソフトウェアとサービスがそれに続きます。ARヘッドセット向け支出は高い成長(CAGR 189.2%)が続くため、2023年にはハードウェアカテゴリーで最大の支出分野になると見込まれ、VRホストデバイスがそれに続くとみられます。ARソフトウェアは、2022年までにVRソフトウェアの支出を上回り、テクノロジーカテゴリー中2番目の高成長となると推定しています。サービス支出は、ARコンサルティングサービス、ARカスタムアプリケーション開発、およびARシステム統合が力強い成長をすることで牽引すると予測しています。
「ARは、タスクを容易にし、リソースへのアクセスを提供し、複雑な問題を解決することができるため、ビジネス分野でシェアを拡大している」と米国IDC Customer Insights&Analysisのリサーチディレクターであるマーカス・トーチャは述べています。続けて、「ARの採用は、製造業、公益事業、電気通信、物流などの業界において、組み立て、保守・修理用途での採用と活用が増えている」と述べています。
地域別に見ると、中国は予測期間を通して最大のAR/VR支出が行われる地域となり、それにアメリカが続くと予測されます。2023年には両国の支出が全世界の3/4近くを占めるものとみられます。西ヨーロッパでは5年間のCAGRが101.1%と急成長が見込まれ、米国と中国が続きます。
他方、国内の2018年のAR/VR関連市場支出は12.9億ドル、2019年は17.8億ドル、そして2023年は34.2億ドルの市場に成長すると予測され、2018年から2023年までのCAGRは21.5%と予測されます。セクター別では、消費者部門が2023年には11.6億ドルと最大の市場であるほか、流通・サービス部門が10.8億ドルで続くとみられます。
国内の予測をユースケース別に見ると、2023年のトップはトレーニング用途(10.4億ドル)ですが、2018年から2023年にかけてのCAGRは14.1%に留まるとみられ、新たな市場の開拓が求められます。また、産業分野別では消費者向けが2023年も引き続き11.6億ドルでトップであるとみられますが、組立製造やメディア関連がそれに続くものと予測されます。これらに関して、IDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの菅原 啓( https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=PRF004785)は「トレーニング分野を中心にAR/VRの利用が拡大してきたとはいえ、現在の市場の成長見込みは海外の諸地域に比べて明らかに見劣りする状況に変わりはない。国内市場の現状に甘んじることなく、積極的なユースケースの開発とAR/VR新規使用者層の開拓を続けることが、今後の停滞を避ける唯一の道である」と提言しています。
今回の発表はIDCが発行したWorldwide Semiannual Augmented and Virtual Reality Spending Guide 2018H2(2019年4月発行)にその詳細が報告されています。
Worldwide Semiannual Augmented and Virtual Reality Spending Guide 2018H2 は、世界の地域別、産業分野別、ユースケース別、テクノロジー別に、AR/VR関連の事業機会を定量化して提供します。このSpending Guideのデータは、業界の他の研究とは異なり、IT意思決定者がAR/VR支出について、それぞれの業界ごとの今日及び将来の展望を理解するに際し、包括的な支出ガイドとして役立てていただくことを目的として発行されています。
■IDC Spending Guideについて
IDC Spending Guideは、主要テクノロジー市場の動向を、地域、産業、ユースケース、バイヤー、テクノロジーの観点から詳細に分析しています。IDC Spending Guideは、ピボットテーブル形式またはカスタムクエリツールによるセルフサービス型サービスとして提供され、ユーザーはデータのトレンドや関係を見ることによって、各市場に関する有益な情報を簡単に抽出することができます。
※本プレスリリースは2019年6月4日の米国IDC(マサチューセッツ州 フラミンガム)による発表の日本語訳をベースとしています。
*参考資料は添付の関連資料を参照
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