2019年7月19日(金)

プレスリリース

東大・産総研など、氷結合タンパク質の発現により低温環境に弱い線虫の氷点下での生存率上昇を確認

2019/5/15 18:00
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発表日:2019年5月15日

「低温環境に弱い線虫が氷点下で生き延びた!」

―新しい低温保存技術と長期常温保存への期待―

■発表のポイント:

◆低温環境下で生存が難しい線虫C.エレガンス(注1)に氷結合タンパク質分子(注2)を遺伝子導入技術(注3)で発現させると、生存率(注4)が最大で約10倍に上昇することを世界で初めて示しました。

◆0℃においても生存率上昇が確認されたことにより、氷結晶があまり存在しない環境においても細胞保護機能(注5)が働いていることを線虫で確認しました。

◆氷結合タンパク質を発現する部位(注6)を変えることで生存率上昇の効果が違うので、最適な導入法や他の分子の導入の探索・検討を通じて、移植臓器や食品等の新しい低温保存技術や長期常温保存技術につながることが期待されます。

■発表概要:

近年、食品ロスが社会問題となっています。食品ロス対策で学術的な貢献が期待されるのは、新しい保存技術の開発です。例えば、冷蔵・冷凍低温保存における賞味期限の延長や、大規模低温保存施設を必要としない保存方法が期待されています。また、食品以外では、臓器移植において、安定な低温保存期間の延長も期待されています。本研究グループは、今まで、氷結晶と強く相互作用する氷結合タンパク質分子(Ice-Binding Protein: IBP)が、どのように氷と結合するのかという分子レベルでの機能発現の解明に着目して研究をしてきました。このIBPは、氷結晶表面に吸着し、氷結晶の成長を空間的に阻害することで、細胞や組織の損傷を防ぐ機能を持つことが分かってきました。しかし、低温下において生きた動物(個体動物)の耐性や、細胞機能に対するIBPのマクロな効果については全く研究されてきませんでした。

東京大学大学院新領域創成科学研究科の佐々木裕次教授(産総研・東大 先端オペランド計測技術オープンイノベーションラボラトリ兼務)、倉持昌弘助教、そして、産業技術総合研究所の津田栄上席主任研究員らは、世界で初めて、IBPの個体動物としての低温耐久性と細胞保護効果について、筋肉系、神経系、そして消化器系において評価し、筋肉系にIBPを発現した場合、マイナス5℃で1日間飼育した時の生存率が野生型で7%だったのに対し、体壁筋にIBPを発現した線虫では、生存率約72%以上に上昇することを定量的に示しました。凍結温度域における氷の結晶成長を抑えることで、線虫生体内へのダメージを防ぎ、個体レベルの活動を維持できることが判明したのです。

※以下は添付リリースを参照

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

添付リリース

https://release.nikkei.co.jp/attach_file/0508999_01.pdf

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