2019年8月18日(日)

プレスリリース

東大、ヒトの歩行中の脳活動から筋活動制御情報を解読することに成功

2019/5/2 0:05
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発表日:2019年5月2日

歩行中の脳活動から筋活動制御情報を解読

~脳は一個一個の筋ではなく「筋シナジー」の制御に関与する~

1.発表者

横山 光(東京大学 大学院総合文化研究科広域科学専攻 博士課程(研究当時)/東京農工大学 日本学術振興会特別研究員 PD(現在))

金子 直嗣(東京大学 大学院総合文化研究科広域科学専攻 博士課程1年生)

小川 哲也(東京大学 大学院総合文化研究科広域科学専攻 助教)

河島 則天(国立障害者リハビリテーションセンター研究所 運動機能系障害研究部 神経筋機能障害研究室 室長)

渡邊 克己(早稲田大学 大学院基幹理工学研究科表現工学専攻 教授)

中澤 公孝(東京大学 大学総合文化研究科広域科学専攻 教授)

2.発表のポイント

◆ヒトの歩行中の脳活動から、筋活動制御情報を解読することに成功しました。

◆ヒトの脳活動は一個一個の筋の活動より、複数筋の同時収縮「筋シナジー」との関連が強いことを示しました。

◆この成果は脊髄損傷患者など、脳信号を筋にうまく伝達することのできない患者の歩行動作をサポートするブレイン・マシン・インターフェース(注1)の開発につながる可能性があると考えられます。

3.発表概要

我々が歩行するときには、個々の筋が独立に活動するのではなく、複数の筋の協調した活動「筋シナジー」(注2)という複数の筋の同時活動が見られることが報告されています。また、歩行は一度始めると特に動作に意識をせずとも行えるため、脳は歩行の制御にあまり関与しないと考えられてきましたが、近年、歩行中の脳波(注3)計測が可能となり、歩行に関連した脳活動の存在が徐々に示されてきました。しかしながら、その歩行時にみられる脳活動と筋制御の関係性はこれまで明らかにされてきませんでした。

今回、東京大学大学院総合文化研究科の中澤公孝教授および東京農工大学の横山光研究員(元東京大学博士課程学生)らの研究グループは、脳情報デコーディング技術(注4)を用いることにより、歩行時に計測した脳活動から筋活動パターンを予測することに成功しました。また、個々の筋の独立した活動と、筋シナジー活動をそれぞれ脳活動から予測した結果、筋シナジー活動の方が予測精度が高い、すなわち脳活動と関連性が高いことが示されました。さらに驚くべきことに、個々の筋活動の予測は、筋シナジーに関連した脳情報の組み合わせにより説明できることが示されました。本研究成果は、ヒトの歩行中に計測した脳活動と筋シナジー活動間における強固な関連性を世界で初めて示したものです。

従来、私たちは意識せずとも歩けるため歩行の制御に脳は重要でないと考えられてきましたが、本研究成果はヒトの歩行制御において脳が不可欠な役割を担うことを強く示唆するものです。加えて、脊髄損傷患者など脳信号を筋にうまく伝達することのできない患者を対象とした、脳活動から歩行制御信号を汲み取りロボットにより身体をサポートする、ブレイン・マシン・インターフェイス構築のための重要な基礎知見となるなど、リハビリテーション分野への応用が期待されます。

この本研究は、JST戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)の研究課題名「潜在アンビエント・サーフェス情報の解読と活用による知的情報処理システムの構築」(研究代表者:渡邊克己)の一環として行われ、学際的分野の重要な論文の掲載を目的とする米国の学術誌「iScience」(Cell Press)に掲載されました。

※以下は添付リリースを参照

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

添付リリース

https://release.nikkei.co.jp/attach_file/0508711_01.pdf

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