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東北大・熊本大・JST、ジスルフィド結合導入酵素によるたんぱく質の立体構造形成促進機構を解明

2019/4/16 0:05
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発表日:2019年4月16日

ジスルフィド結合導入酵素によるたんぱく質の立体構造形成促進機構を解明

~構造異常たんぱく質が引き起こす神経変性疾患などの原因解明に光~

【発表のポイント】

・高速原子間力顕微鏡を用いた観察により、ジスルフィド結合導入酵素プロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)が、構造未成熟な基質を捕獲する様子を可視化することに世界で初めて成功した。

・高速原子間力顕微鏡により捉えた PDI の動きが、たんぱく質の効率的な立体構造形成促進に重要であることを明らかにした。

・PDI の基質認識機構および立体構造形成促進機構に対する理解が深まったことにより、構造異常たんぱく質が引き起こす種々の疾病の成因解明につながると期待される。

【概要】

東北大学 学際科学フロンティア研究所の奥村正樹助教、東北大学 多元物質科学研究所の稲葉謙次教授(生命科学研究科、大学院理学研究科化学専攻 兼任)、熊本大学 発生医学研究所の小椋光教授、野井健太郎博士(現 大阪大学 ナノサイエンスデザイン教育研究センター 特任助教)らの研究グループは、JST 戦略的創造研究推進事業において、高速原子間力顕微鏡(注1)により、ジスルフィド結合(注2)導入酵素プロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)が構造未成熟な基質を捕獲する様子を可視化することに世界で初めて成功し、同酵素によるたんぱく質の立体構造形成促進機構に関する全く新しい概念を提唱しました。

細胞内には、たんぱく質高次構造の形成反応を促進する仕組みがあります。特に構造未成熟なたんぱく質の構造修復の仕組みは、我々の生体内で不良たんぱく質の蓄積を防ぐために必要不可欠です。しかしながら、いまだどのようにして細胞内の補助因子が構造未成熟なたんぱく質を認識し、構造修復のため働いているのかよくわかっていませんでした。

PDI ファミリーたんぱく質(注3)の1つである PDI は、哺乳動物細胞の小胞体(注4)内で、立体構造形成前のたんぱく質にジスルフィド結合を導入させたり誤って形成されたジスルフィド結合を修復したりなどの機能を担っています。PDI の結晶構造(注5)は4つのドメインから構成されるU字構造であり、動きに富むことが示唆されていましたが、この動きが PDIの機能発現にどう関わるか解明されていませんでした。

そこで、高速原子間力顕微鏡による1分子レベルでの観察により、PDI が酸化還元状態依存的にドメインの動きを制御していることを明らかにしました。さらに、BPTI、RNaseA、ラミニン、プラスミノーゲンといった形や大きさ、ジスルフィド結合の数が異なるさまざまな基質を還元変性させた状態で添加すると、PDI は二量体へ会合し、その中央に形成される空間(キャビティ)に基質が取り込まれる様子を観察することに世界で初めて成功しました。これにより、PDI が触媒するたんぱく質の酸化的フォールディング(注6)の全く新しいモデルを提唱するに至りました。

本研究成果は、2019年4月15日16時(英国時間)に「Nature Chemical Biology」のオンライン速報版で公開されます。

※以下は添付リリースを参照

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

添付リリース

https://release.nikkei.co.jp/attach_file/0507557_01.pdf

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