京大、多孔性結晶の表面の細やかな変化を原子間力顕微鏡でリアルタイム観察することに成功
発表日:2018年12月4日

多孔性結晶の表面の細やかな変化を原子間力顕微鏡でリアルタイム観察することに成功
北川進 物質ー細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)拠点長、細野暢彦 同特定助教(現・東京大学講師)らの研究グループは、原子間力顕微鏡という顕微鏡を利用して直接結晶の表面を観察することで、多孔性配位高分子(PCP)と呼ばれる多孔性結晶の表面が外環境に存在する分子を認識して非常に柔軟に変形していることを、世界で初めて明らかにしました。
この結晶表面は、ある分子を認識すると正方形の格子構造から菱形へと変形します。これまで、分子の濃度がある一定以上になると、構造を柔軟に変化させる多孔性結晶があることが知られていましたが、その表面がどのように振る舞っているのかは全くの謎とされていました。
しかし、本研究により、多孔性結晶の表面の変形は実は結晶全体よりも低濃度で起こっていること、つまり、結晶内部よりも結晶表面はより敏感に応答しているということがわかりました。今回発見した現象を利用すれば、微量な物質を検知する高感度センサーや、ナノレベルで物質を選り分ける分離膜など、幅広いナノテクノロジーへの応用につながります。
本研究成果は、2018年12月4日に、国際学術誌「Nature Chemistry」のオンライン版に掲載されました。
※図は添付の関連資料を参照
■詳しい研究内容について
・多孔性結晶の表面の細やかな変化を原子間力顕微鏡でリアルタイム観察することに成功
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2018/documents/181204_1/01.pdf
■書誌情報
【DOI】 https://doi.org/10.1038/s41557-018-0170-0
Nobuhiko Hosono, Aya Terashima, Shinpei Kusaka, Ryotaro Matsuda & Susumu Kitagawa (2018). Highly responsive nature of porous coordination polymer surfaces imaged by in situ atomic force microscopy. Nature Chemistry.
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