2019年6月17日(月)

プレスリリース

東大など、強誘電体から発現するトポロジカルなスピン励起の存在を実証

2018/12/1 4:00
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発表日:2018年12月1日

強誘電体から発現するトポロジカルなスピン励起

‐電荷と格子が強く結合した場を動き回るスピンソリトン‐

1.発表者:

・須波 圭史(東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻 学術支援専門職員)

・西川 哲郎(東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻 修士2 年生:研究当時)

・宮川 和也(東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻 助教)

・堀内佐智雄(産業技術総合研究所フレキシブルエレクトロニクス研究センター 上級主任研究員)

・加藤 礼三(理化学研究所開拓研究本部 主任研究員)

・宮本 辰也(東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻 助教)

・岡本 博(東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻 教授/産業技術総合研究所先端オペランド計測技術オープンイノベーションラボラトリ ラボチーム長)

・鹿野田一司(東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻 教授)

2.発表のポイント:

◆電荷と格子が強く結合した強誘電体(注1)において、その秩序が壊れるときに生まれる磁気的な励起(れいき:エネルギーが高い)状態がソリトン(注2)と呼ばれるトポロジカルな励起(注3)であることを捉えた。

◆電気的な性質が注目される強誘電体に対して、磁性という観点から特異なスピン励起の存在を実証した。

◆通常の電子とは異なる形で物質内を伝搬するソリトンが示す電気的・熱的な輸送特性の研究の舞台として、広範な影響を及ぼすことが期待される。

3.発表概要:

物質の中には、電荷・スピン・格子といった複数の自由度が存在し、それらが協調することでさまざまな現象が発現します。近年、分子性物質(注4)において電荷と格子の自由度が強く結合した電子型強誘電体と呼ばれる状態が発見されました。このような状態(系と呼ぶ)では、格子が変位すると同時に電荷が移動することにより、巨大な電気分極(注5)が発現します。一方で、電子が持つもう一つの重要な自由度であるスピンについては、一重項状態(シングレット)と呼ばれる量子力学的なペアを組むために、あらわにはならず、ほとんど注目されてきませんでした。

今回、東京大学大学院工学系研究科の須波圭史学術支援専門職員、宮川和也助教、鹿野田一司教授らを中心とする研究チームは、このような電子型強誘電体に圧力を加え、強誘電性が消えるとされる温度の近傍において、そのスピン状態を核磁気共鳴法によって精密に調べました。

その結果、強誘電秩序が破壊されると同時に、スピン自由度が生み出されることを明らかにし、それが物質内を拡散的に伝搬していることを実証しました。そしてこのスピンの伝搬は、シングレットペアの組み残しとして生じる孤立スピンが物質内を拡散的に動いている、ソリトン的なトポロジカル励起によるものであることを突き止めました。このように物質内を動き回るソリトンは、導電性高分子として知られるポリアセチレンにおいては、電気伝導を担う粒子として盛んに研究されてきましたが、電荷と格子が強く結合した強誘電体において、磁性を担うソリトンの存在とその運動は今回初めて実証されました。

今回の研究成果は、強誘電体の物理に磁性という観点から新たな展開を与えるのみならず、従来のエレクトロニクスにおける電気を運ぶ担い手である電子とは異なる形で物質内を動き回るソリトンが引き起こす、電気的・熱的な輸送特性という応用的な研究にも波及していくことが期待されます。本研究は、2018 年12 月1 日(日本時間)に米国科学誌「Science Advances」(オンライン版)で公開されます。

※以下は添付リリースを参照

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

添付リリース

http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0496772_02.pdf

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