2019年5月25日(土)

プレスリリース

東北大、バイオマス資源を原料とする炭素5員環化合物の創製および高付加価値の薬用化合物への応用に成功

2018/11/10 0:05
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発表日:2018年11月10日

バイオマス資源を原料とする炭素5員環化合物の創製

および高付加価値の薬用化合物への応用

【研究のポイント】

・2-デオキシ-D-グルコース(2-DG)と水のみを原料とする無触媒条件下での穏和な水熱反応(注1)により一工程で多官能基を有する炭素5員環化合物4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-2-シクロペンテン-1-オンに変換した。

・4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-2-シクロペンテン-1-オンから慢性動脈閉塞症治療薬として用いられているPGE1の短工程合成を実証した。

・4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-2-シクロペンテン-1-オンは、様々な有用化合物を合成する際の新規ビルディングブロック(注2)としての利用が期待される。

・修飾糖の変換は既知物質以外の創製の可能性を示した。

【概要】

東北大学多元物質科学研究所の笠井均教授らによる共同研究グループは、バイオマス資源(注3)を原料とする単糖類から多官能基を有する炭素5員環化合物の創製および、それを出発原料とする薬用化合物の短工程合成の開発に成功しました。

セルロース系バイオマス資源の一般的な利用法としては、発酵によるバイオエタノールの生産または、セルロースやグルコースなどの天然糖を酸、塩基性、触媒存在下あるいは亜臨界、超臨界状態下における高温高圧水を用いた化学変換によるフラン類や炭化水素あるいはその分解物の生産が広く知られています。

今回、笠井教授らは、グルコースから容易に誘導可能であり、かつ現在では工業的に生産されている2-デオキシ-D-グルコース(2-DG)に注目しました。2-DGと水のみを用いた無触媒条件下、飽和蒸気圧を利用した200℃以下という穏和な水熱反応(家庭用の圧力鍋と同程度の環境条件)により、わずか一工程で多官能基を有する炭素5員環化合物である4-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-2-シクロペンテン-1-オンを創製することに成功しました。同化合物は、従来法では化学合成により、長い工程を経て極わずかに得られる化合物でした。さらに、得られた化合物から数工程で、慢性動脈閉塞症治療薬として用いられているプロスタグランジンE1(PGE1)を合成できることを実証しました。PGE1の薬価は1gで1億円以上と高額で、且つ年150億円程度の市場を有するため、代表的な付加価値の高い医薬化合物であるといえます。本成果は、バイオマス資源を有効利用し、高価な薬用化合物を生産した初めての例証といえ、今後のバイオマス研究分野における新たな分野の開拓および得られた化合物のファインケミカル(注4)への応用が期待されます。

本研究は、「物質・デバイス領域共同研究拠点」の共同研究プログラムの助成による支援を受けて、東北大学多元物質科学研究所とフロムシード株式会社との共同研究により実施されました。

本研究成果は、2018年11月10日午前0時(日本時間)に、日本化学会発行の英文学術雑誌Bulletin of the Chemical Society of Japan(電子版)に掲載される予定です。

※以下は添付リリースを参照

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

添付リリース

http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0494816_01.pdf

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