2018年12月10日(月)

プレスリリース

理研、ポリコム複合体による発生シグナルの閾値調節機構を解明

2018/10/11 17:05
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発表日:2018年10月11日

ポリコム複合体による発生シグナルの閾値調節機構を解明

-発生過程における頑健性を支えるエピジェネティクス因子-

理化学研究所(理研)生命医科学研究センター免疫器官形成研究チームの古関明彦チームリーダーと藥師寺(上夏井)那由他客員研究員らの研究チーム(※)は、マウスの四肢の原基である肢芽形成において、エピジェネティクス[1]因子の「ポリコム複合体[2]」と肢芽の発生シグナルが共通の標的遺伝子を制御するメカニズムを発見しました。

本研究成果は、発生シグナルがポリコム複合体と協働することで、一つの受精卵からどのように胚を形作っていくのか、その仕組みの一端を明らかにするものです。今後、ES細胞[3]やiPS細胞[3]から組織や器官を作り出す過程での効果的な方法の開発や再生医療の発展に貢献すると期待できます。

今回、研究チームは、肢芽の基部化シグナル[4]とポリコム複合体が共通の標的遺伝子「Meis2」の発現制御領域で相互に拮抗することで、Meis2遺伝子発現のオン・オフをそれぞれ制御していることを明らかにしました。さらに、数理モデル[5]に基づくシミュレーションを組み合わせた解析から、Meis2遺伝子の発現を活性化させるために必要な基部化シグナルの閾値(いきち)[6]をポリコム複合体が調節していることを見いだしました。これまでにポリコム複合体は遺伝子の発現を抑制すると同時に、活性化する役割を担っていることが分かっていましたが、本研究はポリコム複合体が新たに閾値調節機構として働くことを示しています。

本研究は、英国の科学雑誌『Development』(2018年10月15日号)の掲載に先立ち、オンライン版(9月6日付け)に掲載されました。

※研究チーム

■理化学研究所

◆生命医科学研究センター 免疫器官形成研究チーム

・チームリーダー:古関 明彦(こせき はるひこ)

・客員研究員:藥師寺(上夏井)那由他(やくしじ(かみなつい)なゆた)

◆生命機能科学研究センター 発生幾何研究ユニット

・ユニットリーダー:森下 喜弘(もりした よしひろ)

※研究支援

本研究は、日本医療研究開発機構 革新的先端研究開発支援事業ユニットタイプ「エピゲノム研究に基づく診断・治療へ向けた新技術の創出」研究領域(研究総括:山本雅之(東北大学大学院医学系研究科教授)における研究課題「エピジェネティクスによるエンハンサー動態制御メカニズムの解明と細胞機能制御への応用」(研究代表者:古関明彦)による支援を受けて行われました。

■背景

一つの受精卵から胚が形作られていく過程で、エピジェネティクス因子の「ポリコム複合体」は遺伝子の発現を主に抑制するように働いており、未分化な細胞が次第に分化していく過程に深く関わっていることが知られています。2016年に古関チームリーダーらは、このポリコム複合体がさまざまな発生シグナルと協調して、四肢の領域特定化と形態形成に関与していることを報告しました(注1)。しかし、ポリコム複合体と発生シグナルがどのように共通の標的遺伝子群の発現を制御しているのか、その詳細な分子メカニズムはまだ分かっていませんでした。

そこで研究チームは、肢芽の基部化シグナルであるレチノイン酸シグナルによって活性化され、反対にポリコム複合体によって抑制されることが分かっている「Meis2遺伝子」に着目し、この制御メカニズムを明らかにすることを試みました。

注1)2016年1月19日プレスリリース「四肢形成における分子メカニズムの一端を解明」

 http://www.riken.jp/pr/press/2016/20160119_2/

*以下は添付リリースを参照

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

添付リリース

http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0492949_01.pdf

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