2018年6月21日(木)

プレスリリース

京大、「遺伝子調節ネットワーク」を制御できることをモデル生物の胚を用いて実証

2018/6/13 17:35
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発表日:2018年6月13日

遺伝子ネットワークを制御してさまざまな種類の細胞を作り出す

―数学的理論に基づく細胞運命の制御に成功―

 

■概要

 生物の体の基本単位である細胞の活動は、生体分子(注1)の活性から生み出されます。こうした細胞内外の生体分子は、互いに活性を調節しあい、相互作用関係のネットワークを作っています。したがって、今日では、個々の分子の働きだけではなく、ネットワーク全体の振る舞いを知ることが細胞の活動の原理を知るために重要であると考えられています。京都大学大学院理学研究科 佐藤ゆたか 准教授と同ウイルス・再生医科学研究所 望月敦史 教授(兼:理化学研究所・主任研究員)らの研究グループは、数学的な理論であるリンケージロジック理論(注2)を用いて鍵となる生体分子を同定し、その分子に実験操作を加えることで、生物の持つネットワークの一つである「遺伝子調節ネットワーク」(注3)の振る舞いを制御できることを、モデル生物のカタユウレイボヤ(注4)の胚を用いて実証しました。この理論を応用することで、さまざまなネットワークの働きを調節し、細胞の活動を制御することができるようになることが期待できます。

 本研究は、日本時間2018年6月8日に国際学術誌「iScience」にオンライン掲載されました。

 ※参考画像は添付の関連資料を参照

1.背景

 生物の体の基本単位である細胞の活動は、生体分子の活性から生み出されます。こうした細胞内外の生体分子は、互いに活性を調節しあい、相互作用関係のネットワークを作っています。個々の分子の働きを超えたこうしたネットワークの働きをどのようにしてとらえ、理解し、それを通じてネットワークの働きを自在にコントロールするにはどうしたらよいのか、という問題は現在の生物学の大きな問題の一つです。

 今回の研究では、生物のネットワークの一つである遺伝子調節ネットワークに注目しました。多細胞生物は、さまざまな種類の細胞を持ちますが、こうした細胞は、その種類ごとに特有の遺伝子を発現します(細胞の種類によって活性化する遺伝子の組み合わせが違います)。遺伝子それぞれの発現(活性化されるかどうか)は調節タンパク質と呼ばれるタンパク質によって調節されています。調節タンパク質を作り出す遺伝子の活性も別の調節タンパク質によって調節されています。また調節タンパク質は、通常、複数の異なる調節タンパク質が同時に働くことで機能します。こうした遺伝子発現調節が何層にも積み重なったものを遺伝子調節ネットワークと呼びます。この遺伝子調節ネットワークの構造は多くの動物の細胞で実験的に解明されてきました。

 今回、実験に用いたカタユウレイボヤ(注4)では、92の遺伝子を含む遺伝子調節ネットワークの構造が明らかになっています。この遺伝子調節ネットワークは、卵が受精して、細胞分裂を繰り返し、個体を作り上げていく過程で、表皮、脳、その他神経系、間充織、脊索、内胚葉(注5)などの細胞の運命を決定します。カタユウレイボヤの遺伝子調節ネットワークの構造は実験的に解明されてきたものですが、実際に細胞の運命を決定するために十分な情報を含むものなのでしょうか。また、十分であるとすれば遺伝子の活性を操作して自由にさまざまな種類の細胞を作り出すことができるのでしょうか。これらの疑問に答えるべく、今回の研究に取り組んできました。

 ※以下は添付リリースを参照

 

 

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

参考画像

http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0482422_01.png

添付リリース

http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0482422_02.pdf

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