プレスリリース

東北大、「レプトスピラ」細菌の運動の仕組みを解明

2018/5/31 4:00
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発表日:2018年5月31日

「レプトスピラ(1)」細菌の運動の仕組みを解明

~レプトスピラ感染症の発症機構の解明に役立つと期待~

【発表のポイント】

・「レプトスピラ」という細菌は、らせん形の菌体を"ネジ"のように回して水中を泳ぎ、固体表面に貼りつくと"ドリル戦車"のように這いまわります。

・本研究では、レプトスピラの「水陸両用」ともいえる運動の仕組みを明らかにし、2種類の運動をスムーズに切り替える機構のモデルを提案しました。

・レプトスピラは、野生動物、家畜、ペットの腎臓に棲みつき、人に感染すると黄疸や腎不全などを引き起こします。本成果は本症の発症メカニズムの解明、予防法の開発につながると期待されます。

【概要】

東北大学の田原孟氏(当時・大学院生)と中村修一助教らは、国立感染症研究所、大阪大学などと共同で、光学顕微鏡を用いた詳しい細胞運動解析により、「レプトスピラ」という運動性細菌の菌体表面における分子の動きなどを定量的に解析することに成功しました。その結果、接着性の分子が菌体表面を自由に動き回ることにより、スイミング(遊泳モード)からクロウリング(這い回りモード)へのスムーズな切り替えを可能にしていることが分かりました。

レプトスピラは、動物の皮膚から体内に侵入し、血流にのって全身に広がったあと、腎臓に棲みつきます。この研究の結果は、「動物内に侵入してから特定臓器に達するまではスイミングが、臓器接着後の移動にはクロウリングが使われる」という感染機構モデルを提案するもので、レプトスピラ感染症の発症機構の解明に役立つと期待されます。レプトスピラが属する「スピロヘータ」という細菌グループには、近年感染報告が急増している梅毒の原因菌(トレポネマ)など、人や動物の健康にとって重要な種が多く含まれます。これらは細胞構造や運動性に類似点が多いことから、本研究の成果は、他のスピロヘータ感染症の研究にも役立つものと思われます。

この成果は、2018年5月31日午前4時(日本時間)公開の米国AAASが発行するScience Advances誌(オンライン)で公開されます。

※顕微鏡観察動画、光学顕微鏡写真、電子顕微鏡写真が多数あります。

【研究内容の詳細】

1.研究の背景

細菌は大きさ数マイクロメートルの微生物です。細菌の仲間には、運動性を持つものが多く知られていますが、運動の様式は実に多様です(図1)。例えば、大腸菌やサルモネラは、菌体の外側に向かって伸びる繊維状の器官(べん毛(2))を使って水中を泳ぎます。肺炎を引き起こすマイコプラズマや口腔細菌の仲間は、固体表面を滑るように這い回ります。多くの細菌は1種類の運動機構を備えますが、「レプトスピラ」という細菌は、水中で泳ぐだけでなく、固体面上に貼りついてもなお動くことができる「水陸両用」的な2種類の運動性を持つことが知られています。

レプトスピラは、「スピロヘータ」というらせん形細菌の仲間で、右巻きらせん状の菌体を持ちます。べん毛は2本ありますが、大腸菌のように菌体の外側に伸びておらず、菌体の"内部"に生えています。大腸菌のべん毛はスクリュープロペラのようなものですが、レプトスピラのべん毛は、菌体の内側から、菌体そのものを回すことによって推力を生み出します。レプトスピラの水陸両用運動は1974年のNature誌でCoxとTwiggによって初めて報告され、遊泳"スイミング"に対して、固体表面を這いずり回る運動は"クロウリング"(crawling:芋虫の動きなどに使われる表現)と称されました。レプトスピラは、人も含む様々な哺乳動物に感染して腎不全などを引き起こす人獣共通感染症「レプトスピラ症」の病原体です。この病気は、全世界的に流行が見られ、国内でも河川のレジャーなどが原因と思われるアウトブレイクが報告されています(2016年9月沖縄など)。運動性を失ったレプトスピラの感染力は著しく低下することから、運動性は必須の病原因子である言われています。しかし、レプトスピラの菌体は一般的な顕微鏡では見えないほど極細(大腸菌の1/10程度)であることなどから、菌体の回転や菌体表面の動態を詳しく調べることは難しく、動くメカニズムも、運動性が具体的にどのように感染に寄与するかも、ほとんど分かっていませんでした。

*図1は添付の関連資料を参照

*以下は添付リリースを参照

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

図1

http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0480851_01.JPG

添付リリース

http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0480851_02.pdf

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