2019年6月27日(木)

プレスリリース

NICT・阪大・東大、冷却原子量子メモリと光ファイバー通信波長帯光子との量子ネットワーク実証に成功

2018/5/24 16:50
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発表日:2018年5月24日

世界初!冷却原子量子メモリを光ファイバー通信で動作

- 長距離量子ネットワークの新技術 -

■研究成果のポイント

・冷却原子量子メモリと光ファイバー通信波長帯の光子との量子ネットワークの実証に成功

・波長ギャップを埋めるための波長変換器の偏光無依存化によって可能に

・量子コンピューターによるハッキングにも耐性のある長距離セキュリティ通信に期待

■概要

大阪大学大学院基礎工学研究科の山本俊准教授および生田力三助教らの研究グループは、大阪大学 井元信之名誉教授、NTT物性科学基礎研究所 向井哲哉主任研究員、NICT未来ICT研究所 三木茂人主任研究員、東京大学大学院工学系研究科 小芦雅斗教授らと共に、量子メモリとなる冷却原子と光ファイバーネットワークにアクセス可能な通信波長帯光子の量子ネットワークの実証に世界で初めて成功しました。

量子ネットワークは量子コンピューターによるハッキングにも耐性のある量子暗号などのセキュリティ通信を実現します。その長距離化のためには、効率的に量子状態を送受信するための中継器が必要とされています。現在のネットワークにおけるサーバーのような役割をもつこの量子中継器は、量子状態を壊すことなく保存することができる量子メモリによって構成されます。しかし、これまでは光ファイバー通信で利用される波長の光量子状態を長時間保存する量子メモリがなく、量子ネットワークの長距離化を阻む一つの原因になっていました。これを解決するため、効率的に波長を変換する必要がありました。

本研究グループは、量子の不思議を利用できる状態のまま、光子の波長を新開発の波長変換器によって光ファイバー通信波長に変換し、これまで研究されてきた冷却原子による量子メモリと光ファイバー通信波長の光子の間で量子ネットワークが形成されることを実証しました。

この新しい量子ネットワークを光ファイバーで繋げることで、遠く離れた原子メモリ間の量子ネットワークの形成や、それを利用した長距離セキュリティ通信に役立つことが期待されます。

本研究成果は、英国科学誌「Nature Communications」に、5月21日(月)掲載されました。

※図1は添付の関連資料を参照

■研究の背景

量子コンピューターに代表される新しい計算機の出現に対して、現在の通信のセキュリティが十分に確保されるかは定かではありません。量子暗号はこのような新しい計算機の出現に対してもセキュリティを確保できることが証明されている唯一の通信ですが、この量子暗号を実現する量子ネットワークの長距離化には大きな課題が残っています。

現在のネットワークでは光ファイバーでの光損失の少ない(1)通信波長帯(1550nm帯)の光を使い、(2)光増幅器や(3)サーバーでのデータ保存により効率化し長距離化を行っています。しかし、光の量子状態によって通信を行う量子ネットワークでは、(2)や(3)は量子状態を壊してしまうため直接利用することができません。一方、量子力学の原理の範囲内で(3)に相当する長距離化の方法が考案されており、量子中継と呼ばれています。その中核となるのは光の量子状態に対するサーバーである量子メモリになります。この光量子メモリは世界的に研究されており、様々な媒体で実証されています。しかし、現在の光ファイバー通信のインフラに適合した通信波長帯(1550nm帯)の光量子メモリはほとんどなく、あっても十分な寿命を達成できるものではありませんでした。そこで、波長ギャップはあるものの寿命の長い冷却原子量子メモリに波長変換器を組み合わせることで、通信波長帯(1550nm帯)での利用を可能にする研究が盛んに行われるようになりました。

これまで開発してきた単一光子の波長変換器では、特定の偏光の光子しか波長変換できていませんでした。しかし、光子の偏光を量子状態として用いる場合には、任意の偏光の光子を波長変換できる「偏光無依存型波長変換器」が必要となります。

※以下は添付リリースを参照

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

図1

http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0480647_01.JPG

添付リリース

http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0480647_02.pdf

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