2018年7月22日(日)

プレスリリース

筑波大・阪大・東北大、腐食耐性があり水素発生効率の高い卑金属電極を開発

2018/3/30 14:35
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発表日:2018年3月30日

腐食耐性があり水素発生効率の高い卑金属電極を開発

~穴の空いたグラフェンが卑金属の性能を引き出す~

 

■研究成果のポイント

 1. シリカナノ粒子を付着させたニッケルモリブデン卑金属注1多孔質合金の上にグラフェン(炭素の単原子シート)を蒸着することで、ナノサイズの穴の空いた3次元構造を持つグラフェンで覆われた卑金属電極の作製に世界で初めて成功しました。

 2. この穴の空いたグラフェンに覆われた卑金属電極は、酸性電解液中でも腐食しにくく、かつ高い水素発生効率を有する水素発生電極として有用であることがわかりました。

 3. これまで水素発生電極に用いられてきた白金などの貴金属に代わる、低コストな電極への展開が期待されます。

 国立大学法人筑波大学数理物質系 伊藤良一准教授は、国立大学法人大阪大学 大戸達彦助教、国立大学法人東北大学 阿尻雅文教授らと協力して、シリカナノ粒子を付着させたニッケルモリブデン卑金属多孔質合金の上にグラフェンを蒸着することで、ナノサイズの穴の空いた3次元構造を持つグラフェンで覆われた、酸性電解液中で長時間溶けずに水の電気分解注2で運用できる水素発生電極を、世界で初めて開発しました。

 このグラフェンのナノサイズの穴は、酸性条件下ですぐに溶解してしまう卑金属電極に対して、(1)酸性電解液と卑金属表面との過度の接触を防いで卑金属の溶出(腐食)を最小限に抑え、(2)酸性電解液と卑金属表面が直接接触できるナノサイズの化学反応場を与える、という二つの役割を持っています。

 本研究で開発した卑金属合金電極は、従来の卑金属電極は酸性電解液で10分も経過せずに腐食してしまうのに対して、初期電流値を2週間以上維持しました。現在、次世代エネルギー源として注目される水素の、クリーンな製造プロセス(水の電気分解)において、電極に用いられている白金(1グラム当たり3800円程度)の使用量を減らすことが課題となっていますが、本電極は白金の100分の1のコストで合成できることから、大量生産への移行を視野に、低コストな電極への展開が期待されます。

 本研究の成果は、2018年3月16日付「ACS Catalysis」で公開されました。

 *本研究は、国立研究開発法人科学技術振興機構が助成する「戦略的創造研究推進事業・再生可能エネルギーからのエネルギーキャリアの製造とその利用のための革新的基盤技術の創出(研究期間:平成27~30年度)」によって実施されました。

■研究の背景

 水素は排気ガスが一切出ない次世代エネルギー源として注目されています。現在、水素は石油精製過程の副次的に生産される方法と、化石燃料と水蒸気を高温で反応させて二酸化炭素を副生成物として水素を製造する方法が主流となっています。ただ、いずれの製造方法も、化石燃料等の既存エネルギーを大量消費していることが問題視されています。水素が真にクリーンなエネルギー源になるためには、再生可能エネルギー電力注3などの化石燃料由来ではないエネルギーを使用して、例えば水の電気分解等で効率よく製造できる方法の確立が望まれます。

 本研究グループは、水素製造時における純度とエネルギー変換効率が良いとされる固体高分電解質膜(PEM)水電解注4に着目しました。この方式では、使用される電極に希少な白金などの貴金属がよく使用されます。その理由として、性能の良さだけでなく、強酸性電解液で溶解せず耐久性が良い(腐食しない)ことが挙げられますが、このことが白金代替電極を作成する際の技術的な課題の一つとなっていました。そこで、コストの高い白金に代わる、炭素卑金属複合材料を用いた高効率な水素発生電極の開発を行ってきました。

 ※以下は添付リリースを参照

 

 

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

添付リリース

http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0475992_01.pdf

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